SANZAAR

SANZAAR（サンザー）

SANZAARは、南半球におけるラグビーユニオンの主要国際大会、スーパーラグビーおよびザ・ラグビーチャンピオンシップの運営を担う組織です。現在は南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンの4カ国ラグビー協会によって構成されています。

設立の経緯と名称

組織の起源は1996年に遡ります。当時、13人制のラグビーリーグがプロ化を進め、高額報酬で選手を集め、特にオーストラリアで人気を博していました。これに危機感を抱いた15人制のラグビーユニオンは、それまでのアマチュアルールを廃止し、プロ化へと踏み切りました。プロ化されたラグビーユニオンは、ライバルであるラグビーリーグの新たな大会に対抗すべく、南半球の主要3協会、すなわち南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアが共同でSANZAR（サンザー）を設立し、独自のプロ大会運営に乗り出しました。

SANZARという名称は、設立時の構成国である「South African, New Zealand and Australian Rugby」の頭文字から採られました。2016年にアルゼンチンラグビー協会が正式に加わったことに伴い、アルゼンチン（Argentina）の「A」が加わり、現在の「SANZAAR」という名称に変更されました。

主な運営大会と歴史

SANZARは設立当初から、南半球ラグビーの商業的な基盤を確立する役割も担いました。主要大会のテレビ放映権販売などを通じ、収益を確保し、プロリーグの運営を支えました。

初期（1996年〜）

1996年、SANZARは二つの主要大会を開始しました。

スーパー12: 南アフリカ（4チーム）、ニュージーランド（5チーム）、オーストラリア（3チーム）の合計12のプロチームが参加する国際リーグ戦としてスタートしました。
トライ・ネイションズ: 南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアのナショナルチームによる代表対抗戦です。

スーパー12はチーム数を徐々に拡大し、2006年には2チームが追加され「スーパー14」に改称。さらに2011年にはオーストラリアから1チームが加わり15チーム体制となったことを機に「スーパーラグビー」へと名称が変更されました。

ザ・ラグビーチャンピオンシップ化（2012年）

代表チームによるトライ・ネイションズは、2012年にアルゼンチンが正式に加入したことで、4カ国対抗戦へと規模が拡大しました。これに伴い、大会名称も「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」へと改められました。

SANZAARへの改称とスーパーラグビーの変動（2016年〜）

2016年の組織名変更と同時に、スーパーラグビーも参加チームを拡大しました。アルゼンチンからハグアレス、南アフリカからキングスが新たに加わったほか、日本からサンウルブズが参加し、国際色豊かな大会となりました。サンウルブズは、日本のスーパーラグビー参加のために設立されたチームです。

しかし、その後の数年間で大会を取り巻く環境は大きく変化しました。2019年にはサンウルブズが2020年シーズン限りでの大会撤退を発表。そして2020年には新型コロナウイルス感染症の世界的流行が発生し、スーパーラグビーは途中で中断・不成立となりました。この混乱期を経て、サンウルブズの活動は終了し、アルゼンチンのハグアレスもチームが解散しました。さらに、南アフリカの有力チームは南半球から北半球のユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップへと活動の場を移しました。

コロナ禍が続いた2020年と2021年には、各国間の渡航が制限されたため、スーパーラグビーの代替としてオーストラリア（スーパーラグビーAU）とニュージーランド（スーパーラグビー・アオテアロア）がそれぞれ国内リーグを開催しました。また、2021年には両リーグの上位チームによる交流戦「スーパーラグビー・トランスタスマン」も実施されました。

スーパーラグビー・パシフィック誕生（2022年〜）

2022年シーズンからは、スーパーラグビーは新たな形式へと刷新されました。「スーパーラグビー・パシフィック」として、オーストラリアとニュージーランドの既存チームに加え、フィジーのフィジアン・ドゥルアと、トンガやサモアなど太平洋諸島出身者を中心としたモアナ・パシフィカの2チームが新規参入しました。これにより、12チームによる新たな国際リーグ戦として再出発しています。

SANZAARは、これらの歴史的な変遷を経て、南半球ラグビーにおけるプロフェッショナル大会の運営と発展において中心的な役割を果たし続けています。

もう一度検索