SESSIONS

『SESSIONS』は、1992年8月26日にリリースされたORIGINAL LOVEのリミックスアルバムです。このアルバムは、1stアルバム『LOVE! LOVE! & LOVE!』と2ndアルバム『結晶 SOUL LIBERATION』から7曲をピックアップし、弾き語り、リミックス、新録音という形で再構築した楽曲を収録しています。

アルバム制作のきっかけについて、田島貴男は「『結晶』のレコーディングと同時期にリミックス作品を作ろうというアイデアがあり、アルチュール・アッシュが来日していたため、参加を依頼したのが始まりだった」と語っています。また、ブラン・ニュー・ヘヴィーズにも参加を依頼したところ、快諾を得られたとのこと。さらに、田島が敬愛するシカゴのハウスミュージックアーティスト、ラリー・ハード（Mr.フィンガーズ）にもリミックスを依頼し、快く引き受けてもらったそうです。特にラリー・ハードは、送られた楽曲を非常に気に入り、1バージョンだけでなく6バージョンものリミックスを送ってきたというエピソードは、田島の音楽に対する情熱と、参加アーティストの才能が結実した結果と言えるでしょう。

当初、アルバムとしてリリースするかどうかは未定でしたが、リミックスという手法を通し、トータルアルバムとして完成度の高い作品に仕上がっています。田島は、リミックスによって曲の新たな側面を引き出すだけでなく、曲の本質的な魅力であるメロディの良さも表現したいという思いから、ピアノの弾き語りも収録しました。この弾き語りでは、木原龍太郎とのセッションを通じて、楽曲の新たな魅力を引き出すことに成功しています。

また、田島は「海外のアーティストがリミックスの12インチシングルをリリースするのを見て、音楽的なインスピレーションを得ることが多かった」と語り、今回のアルバム制作を通して、リミックスという手法を体現したいという意欲があったことを明かしています。自身も12インチシングルを制作し、クラブでプレイしてもらうことで、楽曲のクオリティを客観的に評価したいという思いがあったそうです。

アルバムのアートワークは、信藤三雄が手がけました。ジャケットの色は、カラーコピーではなく指定で入稿されたもので、撮影当日に雪が降ったことがインスピレーションの源泉となりました。信藤は、オーネット・コールマンのアルバム『ヴァーサタイル・インプレッションズ』を参考に、雪の森の中にメンバーが立つという構図を思いついたそうです。このジャケット写真は、『結晶』の制作時に撮影されたもので、ジャズのような雰囲気を出すために、あえて使用を控えていたとのことです。初回盤は、カラーリバーシブルジャケット仕様で、黄色/オレンジの裏面には黄色/ピンクが印刷されていました。

アルバムには、「月の裏で会いましょう (VOCAL & PIANO VERSION)」「心理学 (featuring ARTHUR H.)」「ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ (U.F.O. REMIX)」「ラヴ・ヴィスタ (featuring CLEMÉNTINE, Remix by LARRY HEARD “Mr. Fingers”)」「スキャンダル (BRAND NEW HEAVIES REMIX)」「心理学 (TAKAO TAJIMA, HIROSHI EGAITSU REMIX)」「ジャンピン・ジャック・ジャイヴ (featuring MITSUYOSHI AZUMA)」「ヴィーナス (VOCAL & PIANO VERSION)」の8曲が収録されています。

また、『SESSIONS』からは、アナログ盤もリリースされており、アルバム収録曲に加えて、未発表のリミックスバージョンも収録されています。このアナログ盤は、コンサート会場や一部のCDストアで限定販売されました。一部の楽曲は、後に編集盤や再発盤にも収録されています。

2007年には、『standard of 90's』シリーズの一つとして、24bitデジタルリマスタリングが施され、紙ジャケット仕様で再発されました。この再発盤には、ボーナストラックとして「LOVE VISTA (Smooth Dub)」が追加収録されています。

『SESSIONS』は、リミックスという手法を通して、既存の楽曲に新たな命を吹き込んだ作品であり、ORIGINAL LOVEの音楽的な幅広さと、田島貴男の音楽に対する探究心を示す重要なアルバムと言えるでしょう。

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