SIDAM 25

SIDAM 25: イタリアの自走式対空砲

SIDAM 25は、自走式対空砲としてイタリアによって開発された兵器であり、主にM113装甲兵員輸送車の車体を基に設計されています。この自走砲は、オート・メラーラ社が開発した砲塔を装備しており、1983年から1985年にかけて開発が進められ、1993年まで生産されました。1989年にはイタリア陸軍に正式に配備され、その後の防空任務において重要な役割を果たしています。

構造と装備

SIDAM 25の砲塔は、防彈アルミニウム合金による溶接構造を採用しており、1名が搭乗可能です。左右の側面には、エリコン社製のKBA-B 25mm機関砲がそれぞれ2門ずつ装備されており、合計で4門の機関砲を搭載しています。これにより、射撃の俯仰角は-5°から+87°まで調整でき、俯仰速度は最大100°/秒、全周旋回が可能で、旋回速度も最大120°/秒に達します。

この砲には低光量TV、デジタル射撃統制コンピュータ、レーザー測距機が搭載されており、精密な射撃を実現しています。しかし、レーダー波を利用した捜索装置を持たないため、光学式の照準と追尾に依存しています。このため、全天候能力は制限されていますが、視覚的なサインが発生しないため、敵に位置が知られるリスクが少ないという利点を持っています。

射撃性能

KBA-B機関砲は、初速が1,000メートル毎秒、発射速度は600発/分という高い性能を誇ります。合計して、理論上は2,400発/分という驚異的な射撃能力を持ち、有効射程は2,000メートルです。射撃モードは単発、連発、また15発および25発のバースト射撃から選択可能で、対空目標には焼夷榴弾（HEI）が600発搭載されています。また、2門は焼夷榴弾と対地目標用の装弾筒付徹甲弾（APDS）を用いることもでき、ここには30発分の装弾が用意されています。

近代化プログラム

1990年代中期には、イタリア軍がSIDAM 25の近代化プログラムに着手しました。このプロジェクトにより、ミストラル赤外線誘導地対空ミサイルを追加装備し、3発入りの発射機を2基搭載することが可能になりました。これにより、有効攻撃範囲は最大5.5キロメートルに拡大しました。ただし、依然として捜索レーダーは搭載されていないため、ミサイル発射機と機関砲を目視で目標に向ける必要があるため、操作には一定の技術が求められます。ミサイル自体は赤外線ホーミングによる打ちっ放し方式を採用しているため、追尾レーダーを必要としない設計になっています。

関連項目

SIDAM 25に関連する自走式対空兵器としては、M163対空自走砲やゲパルト自走対空砲、87式自走高射機関砲、ZSU-23-4/2K22、95式自走対空機関砲などがあります。特に95式自走対空機関砲はSIDAMの技術をベースにしており、その進化を示しています。

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