SIG SAUER Pro

SIG Sauer Pro (シグ・ザウアー・プロ)とは

SIG Sauer Proは、SIG SAUER社が開発した一連の自動拳銃の総称であり、具体的にはSP2009、SP2022、SP2340の3つのモデルを指します。これらの銃は「Proシリーズ」または「SIG PRO」とも呼ばれています。

概要

SIG PROシリーズは、1998年に発表されたSP2340から始まりました。翌1999年には、9x19mmパラベラム弾を使用するSP2009が登場。そして2004年には、現行モデルであるSP2022が発表されました。

このシリーズの最大の特徴は、P229をベースに、グロック17のようにポリマー（プラスチック）フレームを採用したことです。これにより、軽量化とコスト削減が図られています。また、レーザーポインターやフラッシュライトを取り付けるためのアンダーレールや、容易なグリップ交換機構など、現代的なニーズに合わせた機能も搭載されています。

SP2009とSP2340は既に生産を終了しており、現在はSP2022のみが生産されています。SIG PROシリーズは当初、アメリカ市場をターゲットとしていたため、.40S&W弾や.357SIG弾といった、ストッピングパワーの高い弾薬を使用するモデルが主力でした。

ポリマーフレームの拳銃は一般的に安価で軽量ですが、SP2022はサイズが近いアルミフレームのP228よりも重く、P229と比べてもわずか25gしか変わりません。これは、携帯性よりも射撃時の反動を抑制することを重視した設計思想によるものです。ポリマーフレームの特性上、重心が上部に偏りやすく、リコイルが強くなる傾向があります。そのため、スライドを厚くして重量を増し、リコイルスプリングを強化することで、スライドの後退速度を抑えています。

SIG PROは、.40S&W弾と.357SIG弾の使用に最適化された設計です。そのため、9x19mmパラベラム弾を使用するモデルは、グリップの太さやスライドの厚さ、重量などがオーバーサイズに感じられるかもしれません。しかし、これは9mmパラベラム弾を使用する際には、コントロールのしやすさにつながるという見方もできます。SIG SAUER社は、この銃を「成熟した公用拳銃」として開発したようです。

価格帯としては、グロックなどの競合製品よりも高く、H&K USPやワルサーP99と同程度です。自社製品であるP226シリーズよりは安価に設定されています。

バリエーション

SP2340

1998年に発表されたSIG PROシリーズの最初のモデルです。.40S&W弾と.357SIG弾の2種類の弾薬を使用し、9x19mmパラベラム弾のバリエーションはありませんでした。P226シリーズとは異なり、分解にはスライドストップを引き抜く方式を採用しています。

SP2009

1999年に発表されたSP2340の9x19mmパラベラム弾対応バージョンです。基本的な構造はSP2340と変わりませんが、トリガーが9mm弾に適した仕様に変更され、マニュアルセーフティが追加されたモデルも存在しました。

SP2022

2004年に発表された、SP2009とSP2340のマイナーチェンジモデルであり、現行モデルです。フランス内務省の法執行機関に制式採用されたほか、アメリカ陸軍TACOMにも採用されました。フランス内務省のテスト（2万発の耐久射撃、泥や落下テストなど）をクリアし、25万丁が採用されました。この際、フランス側の要望により多くの変更が加えられ、SP2022として完成しました。このモデルから「SIG PRO」の名称は消えています。

SP2022の大きな特徴は、汎用性の高いピカティニーレールをアンダーレールに採用したことです。これにより、様々なアクセサリーが装着可能になりました。また、ローディングインジケーターが追加され、チャンバーに弾薬が装填されているかどうかを容易に確認できるようになりました。

その他、トリガーガードの形状変更、ランヤードリングの追加、デコッキングレバーのデザイン改良などが行われています。口径バリエーションも3種類すべてがラインナップされています。現行モデルでは、グリップのデザインがP250やP226E2に準拠したものに変更されています。

もう一度検索