SINGLES (はっぴいえんどのアルバム)

『SINGLES』（シングルス）は、1974年6月25日に発売された、はっぴいえんどのベスト・アルバムです。キング/ベルウッドからリリースされた、はっぴいえんどの3枚のアルバムと、大瀧詠一、細野晴臣のソロ作品のシングル両面を収録した編集盤となっています。

このアルバムは、タイトル通りすべてシングル音源で構成されているのが特徴です。はっぴいえんどの楽曲「12月の雨の日」と「はいからはくち」は、アルバムとは異なる別ヴァージョンで収録されています。また、アルバム未収録だった大瀧詠一の「空飛ぶくじら」が初めて収録されたことや、「恋の汽車ポッポ」「それはぼくぢゃないよ」「五月雨」も別ヴァージョンで収録されていることも、このアルバムの魅力の一つです。

「12月の雨の日」は、ファースト・アルバム『はっぴいえんど』のテイクが4トラック録音だったのに対し、このアルバムでは8トラックで録り直された新ヴァージョンが収録されています。「はいからはくち」は、『風街ろまん』に収録されているテイクの3か月前に録音されたシングル・ヴァージョンで、アルバム版のお囃子やパーカッションが導入されたものとは異なり、シンプルなトラックに仕上がっています。

「恋の汽車ポッポ」は、アルバム『大瀧詠一』に収録されている「恋の汽車ポッポ第二部」のシングル版で、モノラル・ミックスで収録されています。「それはぼくぢゃないよ」は、ギター、ベース、ドラムスをすべて大瀧自身が多重録音したものです。「空飛ぶくじら」は、それまで封印していた“ビートルズ・イディオム”を解いて作られたアルバム未収録作品で、クラリネットがフィーチャーされ、ドラムスとベースを大瀧が演奏しています。「五月雨」は、『風街ろまん』収録曲「颱風」の続編として作られた作品です。

細野晴臣の「恋は桃色」と「福は内鬼は外」は、ソロ・アルバム『HOSONO HOUSE』からのカットで、別テイクは存在しません。

このアルバムは、はっぴいえんどとその周辺の音楽をシングルという形で手軽に楽しめる作品であり、日本のロック史においても重要な一枚と言えるでしょう。

収録曲

SIDE A
1. 恋の汽車ポッポ（大滝詠一）
2. それはぼくぢゃないよ（大滝詠一）
3. 空飛ぶくじら（大滝詠一）
4. 五月雨（大滝詠一）
5. 恋は桃色（細野晴臣）
6. 福は内 鬼は外（細野晴臣）

SIDE B
1. 12月の雨の日（はっぴいえんど）
2. はいからはくち（はっぴいえんど）
3. 花いちもんめ（はっぴいえんど）
4. 夏なんです（はっぴいえんど）
5. 無風状態（はっぴいえんど）
6. さよならアメリカ さよならニッポン（はっぴいえんど）

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