SK (ピープル・ムーバー)

SK: スーレ社が開発したピープルムーバー

SKは、フランスのバニェール＝ド＝ビゴールに拠点を置くスーレ社によって製造されたピープルムーバーシステムです。この名称は、製造会社であるスーレ (Soulé) 社と、設計者であるヤン・ド・ケルマデック (Yann de Kermadec) の頭文字から取られています。

システムの概要

SKシステムは、レール上を循環する小型の客室を、一定速度でケーブル牽引する方式を基本としています。この技術は、スーレ社が以前から製造していたゴンドラリフトの部品を応用したもので、スキー場などで実績のある技術が用いられています。特徴的なのは、保持機構によって速度を減速させたり、駅で客室を停止させることが可能な点です。しかし、このシステムは短距離路線に限定されており、多くの停車駅がある長距離路線や、カーブの多い路線での運用には、ケーブルの速度損失や安定性の問題から不向きとされています。

展開された路線

SKシステムは、いくつかの場所で導入が試みられました。以下にその概要を示します。

ヴィルパントのSK路線

フランスのヴィルパント展示会場の駐車場を結ぶ路線としてSKが導入されましたが、現在この路線は運行されていません。

ノワジー＝ル＝グランのSK路線

フランスのノワジー＝ル＝グランでは、560mのSK路線が建設されました。しかし、この路線が結ぶ予定であった住宅団地が建設されなかったため、路線は開業を見送られ、保護された状態となっています。

ロワシー＝シャルル・ド・ゴールのSK路線

ロワシー＝シャルル・ド・ゴール国際空港では、2路線のSK 6000が建設されました。1路線目は1996年5月1日に開業予定でしたが、全長3,500mという長距離が原因で技術的な問題が多発し、開業に至りませんでした。2路線目も1997年に開業予定でしたが、同様に実現しませんでした。このプロジェクトには1億4,800万ユーロが費やされましたが、最終的には破棄され、CDGVALシステムに置き換えられました。

上海のSK

中国の上海では、外灘観光トンネルにSK 6000が採用され、2001年から供用されています。この上海のSKは、現在稼働している唯一のSKシステムです。

日本のSK

1989年に開催された横浜博覧会では、横浜エスケイ株式会社が会場内交通機関としてSKを営業運転しました。この路線は博覧会期間中のみの期間限定運行で、鉄道事業法に基づく鋼索鉄道路線として営業免許を受けていました。走行距離は651mでした。

まとめ

SKシステムは、短距離輸送を目的としたピープルムーバーとして開発されましたが、技術的な課題や都市計画の変更により、多くの路線が実現しませんでした。しかし、その技術は上海の観光施設で現在も活用されており、特定の条件下では有効なシステムであると言えるでしょう。

脚注

横浜博覧会でのSKは、博覧会終了後に撤去されています。
ロワシー＝シャルル・ド・ゴール空港のSK路線は、技術的な問題だけでなく、費用対効果の問題も指摘されています。

関連項目

ミニメトロ - 小型車両を用いた同様のシステム。

外部リンク

数点のSK画像 - ウェイバックマシン（2013年10月14日アーカイブ分） （フランス語）
* フランス会計検査院 (INA) の報告による、失敗したノワジー＝ル＝グランのSK路線の映像 （フランス語）

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