SN 1181

1181年の超新星：SN 1181

1181年、カシオペヤ座で観測された超新星、SN 1181は、歴史的な天体現象として複数の記録に残っています。8月4日から6日にかけて出現し始めたこの超新星は、中国と日本の天文学者によって、合わせて8つの文献に記録されました。

歴史的な観測記録

SN 1181は、肉眼で観測されたことが記録に残る、数少ない銀河系内の超新星の一つです。およそ185日間もの間、夜空で輝き続け、当時の人々にとって印象的な出来事だったと考えられます。

イギリスの科学者、アレクサンダー・ネッカムもこの超新星に気づき、著書『Liber Ymaginum Deorum』に記述したとされています。また、日本では『吾妻鏡』に「治承五年六月廿五日（1181年8月7日）庚午。戌尅。客星見艮方。鎮星色靑赤有芒角。是寛弘三年出見之後無例云々。」という記述があり、他にも『明月記』や中国の史書『宋史』などにも記録が残っています。

超新星残骸の謎

長らく、電波源である3C 58がSN 1181の残骸であると考えられてきました。しかし、近年の研究では、カシオペヤ座に位置する別の天体、IRAS 00500+6713が、より有力な候補として浮上しています。

IRAS 00500+6713は、2つの白色矮星が合体して形成された天体であり、その際にIax型超新星爆発を起こしたと考えられています。この天体の中心星は、白色矮星の限界質量であるチャンドラセカール限界を超えていますが、中性子星にはなっていません。そのため、今後数千年のうちに、再び特殊なI型超新星爆発を起こし、その後、中性子星になると予測されています。

まとめ

SN 1181は、12世紀に観測された明るい超新星であり、その観測記録は歴史的に貴重です。超新星残骸の特定は未だ確定には至っていませんが、現在の研究ではIRAS 00500+6713が有力視されています。この天体の研究は、超新星爆発のメカニズムや白色矮星の進化過程を理解する上で、重要な手がかりとなると期待されています。



関連項目

* 超新星残骸の一覧

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