SPEAR 3

SPEAR 3について

SPEAR 3（Select Precision Effects At Range Capability 3）は、イギリスが開発中の次世代空対地ミサイルです。将来的には対艦ミサイルとしても利用される可能性があります。このミサイルは、精密攻撃の技術を活用し、非常に高い精度で目標に命中する能力を持つとされています。

背景

この計画は、MBDA社が評価段階の契約を結んだことから始まりました。最初の射程は100km以上とされていましたが、最新の情報では130km（80+海里）以上に達すると報告されています。SPEAR 3は、短距離での精密攻撃が可能である「ブリムストーン」ミサイルの技術を引き継いでいます。そのため、既存の技術を活用しつつ、さらなる能力の向上が図られています。

このミサイルは、全長2メートル（約6.6フィート）で、ターボジェットエンジンと翼キットを用いて高亜音速での飛行が可能です。また、慣性航法装置（INS）やGPS誘導、さらにはデータリンクに対応した多機能シーカーを搭載する予定です。これにより、複雑な戦場環境でも高いターゲットの識別能力を発揮します。

評価と開発

SPEAR 3の評価段階は、2014年にユーロファイター タイフーンを用いた飛行試験で完了しました。この試験では、飛行経路のシミュレーションが精度よく実行され、ミサイルは計画された軌道に沿って目標に向かうことができました。

さらに、SPEAR 3はAGM-154 JSOW-ERと同じハミルトン製TJ-150ターボジェットを使用しています。MBDAは、ユーロファイターのハードポイントに3つのミサイルランチャーを搭載したイラストを公開しており、F-35Bの内部武器ベイにも適合する設計がなされています。

2016年5月には、イギリス国防省がMBDAと4億1,100万ポンドの契約を結び、さらに開発が進むこととなりました。F-35 ブロック4ソフトウェアパッケージへの統合が予定されており、ユーロファイターにも対応できる設計となっています。

試験結果

2016年3月には、ウェールズのキネティック社のAberporthでBAEシステムズのユーロファイターからSPEARの試験ミサイルが発射されました。ミサイルは航空機から分離された後、動力飛行へと移行し、一連の機動飛行を成功裏に完了しました。その後、目標地点に向けて正確に降下し、全ての試験目的が達成されました。

SPEAR EWと未来の展望

さらに、MBDA社はRAF向けに敵防空網を制圧するための電子戦版SPEAR EWを提案しています。このバージョンは、電子戦能力を強化し、戦闘における生存性を向上させることを目的としています。また、SPEARミサイル用のネットワーク化されたスワーム能力の開発も進行中です。これにより、ミサイルの効果的な使用と戦術的な柔軟性が向上すると期待されています。

SPEAR 3は、イギリス空軍と海軍にとって重要な攻撃手段となる可能性を秘めており、今後のテクノロジーの進展とともに、より多様な役割を果たすことになるでしょう。

もう一度検索