AGM-154 JSOW

AGM-154 JSOW (Joint Standoff Weapon)

AGM-154 JSOWは、テキサス・インスツルメンツ社が手掛けた空対地ミサイルで、滑空誘導爆弾の一種です。この武器は、アメリカ空軍、海軍、海兵隊の共同開発計画に基づいて設計されており、現在はレイセオン社がその開発の主契約者として携わっています。

開発の背景

JSOWの開発プロジェクトは、アメリカ海軍及び海兵隊による先進統合兵装システム（AIWS）計画と、アメリカ空軍が推進するスタンドオフ兵器のプログラムが統一される形で始まりました。主な目的は、クラスター爆弾を敵の防空圏から安全な距離で投下することが可能なスタンドオフ兵器を実現することです。この武器の誘導手段としてGPSが採用されており、動力を持たない設計ながら、広い翼面によって射程を確保しています。また、弾体設計にはステルス技術が組み込まれ、敵に発見されにくい構造が考慮されています。

AIWS計画は1991年に契約が発表され、1992年にJSOW計画として具現化されました。この段階では、AIWS計画の成果がそのまま活かされました。

初期の型と量産

JSOWの初期型としては、いくつかのバリエーションがありました。クラスター弾頭（BLU-97/B）を搭載したJSOW-A（AGM-154A）、対機甲部隊を対象にした弾頭を持つJSOW-B（AGM-154B）、及び特定の目標を破壊するための単弾頭（BROACH）を装備したJSOW-C（AGM-154C）などが計画されましたが、JSOW-Bはその後キャンセルされました。基本型であるJSOW-Aは1998年12月17日に実戦投入され、その後1999年からは完全な量産体制に移行しました。

2007年には、AMD-154の誘導精度を向上させたブロックIIが生産され始め、同時にコスト削減にも配慮しています。

進化したバリエーション

その後、複数の新型が登場しました。AGM-154AをベースにBLU-111/B弾頭を搭載したJSOW-A1（AGM-154A-1）や、JSOW-Cを基に中間誘導能力を持たせたJSOW-C1（ブロックIII）、また、ターボジェットエンジンを装備して射程を300海里（約560 km）に拡大したJSOW-ERも開発されました。

運用国

AGM-154 JSOWは、以下の国々で運用されています：

• - オーストラリア
• - カナダ
• - ギリシャ
• - フィンランド
• - ポーランド
• - シンガポール
• - トルコ
• - アメリカ合衆国
• - オランダ
• - 中華民国

2023年の時点で、シンガポール空軍はAGM-154A/Cを保有しています。

参考文献

JSOWに関する詳細情報は、以下の文献に基づいています：

• - DAMIR (2011年12月31日). “JSOW (BASELINE/UNITARY)”(PDF)
• - Andreas Parsch (2007年5月24日). “Raytheon AGM-154 JSOW”

このようにAGM-154 JSOWは多用途性と対地攻撃能力が高く評価され、現在も多くの国によって利用されています。

もう一度検索