SPORT HYBRID i-DCD

SPORT HYBRID i-DCD

HONDAが開発したSPORT HYBRID i-DCDは、先進的なハイブリッドシステムで、ガソリンエンジンと電動モーターの組み合わせにより優れた走行性能と燃費効率を実現しています。このシステムは、Intelligent Dual Clutch Drive（インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ）の略称であり、その名の通りインテリジェントな制御が特徴です。

概要

i-DCDは、7速のデュアルクラッチトランスミッション（DCT）を搭載しており、ガソリンエンジンと電動モーターが並行して動作します。このシステムはパラレル型のフルハイブリッドシステムに分類され、回生ブレーキや巡航運転時に生成されるエネルギーを利用して自動的にバッテリーを充電します。これにより、ユーザーは充電作業を行う必要がなく、給油のみで運用が可能です。

燃費性能を重視する従来のハイブリッドシステムとは異なり、i-DCDは動的性能にもこだわる設計がなされています。特に、ゼロ発進からEV走行が可能で、これにより自然な加速を実感できる点が大きなポイントです。このシステムの大きな特徴は、エンジンとモーターを分離しているため、フリクションの低減が図られています。従来のIMAシステムに比べて、回生発電時のエネルギーロスを抑え、発進時にはクラッチに滑りが生じることもありません。

モーターの技術

i-DCDには交流同期電動機が搭載されており、システムの電圧は173Vとなっています。モーターの最大出力は29.5PS（22kW）、最大トルクは16.3kgf･m（160Nm）です。環境への配慮もされており、使用するレアアースは削減され、テルビウムは使わずにジスプロシウムが効果的に利用されています。

DCTの性能

DCTはドイツのシェフラー社と共同で開発されたもので、効率は90％を超えています。また、1速ギアには遊星歯車を採用し、コンパクトなユニットの設計がされています。これにより、スペースの有効活用も目指されています。

リチウムイオン二次電池

i-DCDにはGSユアサとホンダの合弁会社が製造したリチウムイオン二次電池が搭載されており、従来のシステム同様にバッテリーモジュールはIPU（インテリジェントパワーユニット）として設置されています。新たに販売されるモデルでは、東芝製のリチウムイオン二次電池も採用されています。

構造の特徴

DCTの基本構造は、奇数段と偶数段のシャフトが並列になっており、このレイアウトはモーターの位置や動作に関連しています。回生発電やEV走行は奇数ギヤを介してのみ行われ、偶数段でのエンジン走行中でもモーターアシストが可能です。クラッチは乾式で、エネルギー損失を抑える設計がされています。

搭載車両

i-DCDは複数のモデルに搭載されており、具体的にはフィットハイブリッドやヴェゼルハイブリッド、グレイスハイブリッドなどが挙げられます。これらのモデルは、i-DCDの持つ高効率でダイナミックなドライブ性能を体感できるように設計されています。

まとめ

HONDAのSPORT HYBRID i-DCDは、エコロジーとパフォーマンスの両立を追求した革新技術を提供します。このシステムは、先進的な動力伝達技術による快適な運転体験を実現し、今後のハイブリッド車における基準を定めるものと言えるでしょう。

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