SPYDER 地対空ミサイルシステム

SPYDER地対空ミサイルシステム

SPYDER（Surface-to-air PYthon and DERby）は、イスラエルで開発された短・中距離の地対空ミサイルシステムです。このシステムは、ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社とイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ（IAI）によって共同で設計されました。SPYDERという名称は、航空機搭載用の空対空ミサイルであるパイソン5とダービーに由来しています。これらのミサイルを地上から発射できる形で運用するための兵器システムとして開発されました。

構造と運用方法

SPYDERは、低空で侵入する航空機やヘリコプター、無人航空機（UAV）、ミサイル、誘導爆弾に対し、迅速に迎撃が可能な防空システムとして設計されています。運用形態には固定式と自走式があり、自走式の場合は民間用トラックを改造して運搬・発射が行えます。発射機は、航空機搭載型のパイソン5とダービーをそのまま使用することができ、柔軟性のある運用が可能です。

SPYDERは主に2つのバージョン（SPYDER-SRとSPYDER-MR）で構成されており、それぞれ短距離型と中距離型に分類されます。どちらのバージョンも即応性、高度な悪天候対応、ネットワークでの情報共有、そして4連装のランチャーを備えています。典型的な構成では、指揮車両が1台、ミサイルランチャー装備車両が6台、そして再装填車両が1台となっています。

レーダーと性能

SPYDER-SRは、エルタ社製のEL/M-2106 ATARレーダーを搭載しており、中距離型のSPYDER-MRはEL/M-2084 MMRレーダーを使用します。後者は、イスラエル軍で広く運用されているアイアンドームと同じレーダーです。SPYDER-SRの許容高度は9km、射程は15km。対してSPYDER-MRは、許容高度16km、射程35kmを誇ります。

国際的な運用

このシステムは、インドやシンガポールを含む多くの国に導入されています。ジョージア軍もSPYDER-SRを保持し、2008年の南オセチア紛争で実戦投入されました。イスラエル国内では運用されていませんでしたが、2023年のハマスとの紛争により防空部隊に配備されることになりました。具体的には、2024年時点でインド空軍とフィリピン空軍がそれぞれ別々のバリエーションを装備しています。

国別の使用状況を見ても、イスラエル、インド、シンガポール、そしてフィリピンといった国々で広範囲に支持されており、その高い防空能力が評価されています。

まとめ

SPYDERは、その柔軟な運用と高性能により、多様な攻撃に対抗する強力な防空武器として位置づけられています。戦術的な即応性やネットワーク連携の強化が、現代の戦闘においてますます重要になっている中、このミサイルシステムの役割はさらに大きくなっています。

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