SRAM (自転車メーカー)

SRAM：自転車業界を牽引する革新的コンポーネントメーカー

SRAM Corporation（スラム）は、アメリカ合衆国を拠点とする自転車部品メーカーとして知られています。当初はマウンテンバイク用の部品製造からスタートしましたが、現在ではロードバイク用の部品や、ドイツのザックス社の自転車部品部門買収により内装ギアも製造するなど、事業を大きく拡大しています。

強力なブランドポートフォリオとトップチームへの供給

SRAMは、ZIPP（カーボンホイール）、ROCKSHOX（サスペンション）、QUARQ（パワーメーター）、TIME（ペダル）、TRUVATIV（MTB用パーツ）、Hammerhead（サイクルコンピュータ）など、数々の著名ブランドを傘下に収めています。その高い品質と性能は、世界最高峰のプロチームからも高く評価されており、2023年にはUCIワールドチーム18チーム中3チーム、UCIウィメンズワールドチーム15チーム中7チームがSRAMのコンポーネントを採用しました。特に、グランツールで優勝したチームユンボヴィスマ、モビスターチーム、チームSDワークスがSRAMを採用したことで、SRAMは2023年の全グランツール（男女）を制覇したコンポーネントメーカーという栄誉に輝きました。さらに、SRAMがスポンサーを務めるCANYON//SRAMレーシングもUCIウィメンズワールドチームに所属しています。

マウンテンバイクコンポーネント：革新的なシフトシステムとシングルスピード化

SRAMは、グリップシフト（現ツイスターシフター）という革新的なシフトシステムを生み出した企業として知られています。親指一本で操作できるトリガーシフターもラインナップしており、独自の規格へ変更しながらもシマノ互換の製品も継続して販売しています。MTB用コンポーネントは、XX、X.0、X.9、X.7、X.5、X.4、X.3といったバリエーションがあり、それぞれのモデルでフロントディレイラーの有無や、ツイスターシフターとトリガーシフターの選択などが異なります。フロント変速性能に優れるシマノ製品との組み合わせも可能で、完成車メーカーの間でも広く採用されています。

2009年にはフロント2速、リア10速の最上位モデルXXを発売。そして2012年、業界に衝撃を与えたのが、フロントシングル、リア11速のXX1です。リアカセットは42-10Tとなり、従来のリアハブとの互換性は失われましたが、プロ選手の支持を得てMTBコンポーネントの主流となり、シマノも追随せざるを得ない状況を招きました。2016年には、XX1イーグル、X01イーグルでリア12速化を実現、10-50Tのスプロケットを導入し、シマノとの差を広げました。

ロードバイクコンポーネント：独自のダブルタップレバーと高い互換性

SRAMは、2005年に独自の規格を採用したロードバイク用コンポーネントを発表し、カンパニョーロ、シマノに続く第3の主要メーカーとなりました。レッド、フォース、ライヴァル（そして下位モデルエイペックス）の3つのグループがあり、それぞれに高い性能と信頼性を誇ります。ディレイラーやシフトレバーは独自規格ですが、チェーンリング、スプロケット、チェーンはシマノの10速モデルと互換性があるため、パーツの流用が可能です。実際、ツール・ド・フランス2009では、SRAMのディレイラーとシマノのデュラエースチェーンを組み合わせた例も多く見られました。

SRAMロードコンポーネント最大の特徴は、一本のレバーでシフトアップとシフトダウンの両方を操作できる「ダブルタップレバー」です。一本のレバーを軽く押すとシフトアップ、強く押すとシフトダウンという、直感的な操作が可能です。2006年春に発売され、2007年秋にレッドが供給開始。2008年のジロ・デ・イタリアでは、総合優勝者であるアルベルト・コンタドール選手が所属するチームがSRAMを採用し、その高い信頼性が証明されました。

まとめ

SRAMは、独自の技術と革新的な製品で、自転車業界を常にリードする存在です。マウンテンバイクからロードバイクまで、幅広い分野で高性能なコンポーネントを提供し、世界トップレベルのチームから支持される信頼性を確立しています。これからも、自転車業界におけるSRAMの進化と活躍に期待がかかります。

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