ツール・ド・フランス2009

ツール・ド・フランス2009：モナコ発、激闘の96回大会

2009年のツール・ド・フランスは、96回目の大会として、7月4日から26日にかけて開催されました。コースは、モナコを初めてグランデパール（スタート地点）に迎え、モナコ、スペイン、アンドラ、スイス、イタリアの5ヶ国を駆け抜ける全21ステージ、総延長3459.5kmに及ぶ壮大なものでした。

コース概要

多様なステージ構成が特徴で、平地ステージ10、中級山岳ステージ1、山岳ステージ7、個人タイムトライアル（TT）2、チームタイムトライアル1が含まれていました。山岳ステージにおける山頂ゴールは3回で、TTステージの総距離は95kmでした。

注目すべきは、最終日前日の第20ステージに、個人TTではなくモン・ヴァントゥ山頂ゴールという、挑戦的なステージが設定された点です。これは、最終日のまでもつれる優勝争いに、大きな影響を与えることとなりました。最後の個人TTは、その2日前の第18ステージ、アヌシー湖周辺で行われました。

出場選手と展望

この大会には、2007年覇者アルベルト・コンタドール（アスタナ）が、チームのドーピング問題による前年欠場を経て2年ぶりに参戦。強力なアシストを受け、マイヨ・ジョーヌ（総合優勝）奪回に挑みました。また、4年ぶりの復帰となるランス・アームストロングも、過去の栄光を懸けて参戦。カデル・エヴァンス、デニス・メンショフ、アンディ・シュレク、ロマン・クロイツィガーといった強豪選手たちが、マイヨ・ジョーヌを争う混戦が予想されました。

マイヨ・ヴェール（ポイント賞）争いも、マーク・カヴェンディッシュ、オスカル・フレイレ、トム・ボーネン、トル・フースホフトといったスプリンターたちが激しく競い合う展開が期待されました。

さらに、日本人選手として新城幸也と別府史之が、それぞれ異なるチームから出場。1996年の今中大介以来となる日本人選手のツール参戦は、大きな話題となりました。2人の日本人選手が同時にツールに出場するのは、史上初の快挙でした。

レース展開

開幕はモナコでの個人TTで、ファビアン・カンチェラーラが圧勝してマイヨ・ジョーヌを獲得。続くスプリントステージではカヴェンディッシュが連勝し、日本人選手も好成績を残しました。チームTTではアスタナが勝利し、アームストロングがマイヨ・ジョーヌ争いに加わりました。その後は、逃げ切り勝利やスプリント勝負、山岳ステージでの激戦が繰り広げられ、コンタドールが第15ステージでマイヨ・ジョーヌを獲得。

最終盤では、コンタドールが個人TTでリードを広げ、最終ステージでカヴェンディッシュが6勝目を飾るなど、最後まで目が離せない展開となりました。

結果と注目選手

コンタドールは、アームストロングとのチーム内競争を制し、圧倒的な強さで2度目の総合優勝を達成しました。アームストロングは多くの見せ場を作りましたが、コンタドールには及ばず。カヴェンディッシュは平坦ステージを席巻し、6勝を挙げました。しかし、マイヨ・ヴェールはフースホフトが獲得しました。日本人選手は、新城と別府がともに完走を果たし、日本のサイクリング界に新たな歴史を刻みました。

一方、優勝候補と目されていた選手の中には、期待を裏切る結果に終わった選手もいました。サストレ、エヴァンス、メンショフらは、予想を下回る成績に終わりました。

ドーピング問題

大会前には、複数の選手やチームがドーピング問題に関連して出場停止や出場辞退を余儀なくされました。しかし、大会期間中はドーピング関連の醜聞は発生せず、事前の厳格な対策が功を奏したと言えるでしょう。しかし、大会後にはアスタルロサのEPO陽性反応が判明するなど、ドーピング問題は根深く、自転車競技界の課題として残りました。

まとめ

2009年のツール・ド・フランスは、コンタドールの圧勝、カヴェンディッシュのスプリント勝利、日本人選手の健闘、そしてドーピング問題といった様々な要素が絡み合い、記憶に残る大会となりました。モナコでのスタート、モン・ヴァントゥ山頂ゴールなど、コース設定も大きな話題となり、レースを盛り上げました。この大会は、自転車競技の歴史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。

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