STB (旅行)

STB（ステーションビバーク）とは

STB（ステーションビバーク）とは、鉄道駅を旅行中の宿泊地として利用すること、または駅で寝る旅そのものを指します。駅寝とも呼ばれ、近年、多様な旅のスタイルとして注目されています。

STBの語源と背景

元々は登山愛好家の間で使われていた言葉で、登山前夜に最寄りの駅で宿泊し、夜明けと共に登山を開始したことに由来します。現在では、登山に限らず、交通費を節約したい旅行者の間で広く用いられています。バス停での宿泊を「BSTB」、フェリーターミナルでの宿泊を「FTB」と呼ぶこともあります。

国鉄末期以降、無人駅が増加したことが、STBが広まる一因となりました。無人駅の待合室には長椅子やトイレ、水飲み場などが備えられており、旅行者にとって夜露をしのぐのに十分な環境でした。

1987年には『STBのすすめ』という書籍が刊行され、駅寝の情報が共有されました。この書籍は、駅寝愛好家からの投稿記事を中心に編集され、全国の駅寝スポットやノウハウが紹介されていました。

STBの利点と問題点

利点

宿泊費の節約: ホテルや旅館に宿泊する費用を抑えることができます。
手軽さ: テントなどの装備が不要で、予約も必要ありません。
自由な旅程: 気軽に移動できるため、自由度の高い旅が可能です。
旅人との交流: 同じようにSTBをしている旅行者と出会い、交流する機会があります。

問題点

法的な問題: 駅舎は本来宿泊施設ではないため、建造物侵入罪に問われる可能性があります。
治安の問題: 深夜帯に騒音トラブルや犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
安全性の問題: 無人駅周辺では野生動物が出没する可能性があり、注意が必要です。
マナーの問題: 他の利用者や近隣住民に迷惑をかける行為は慎むべきです。

鉄道事業者は、STBによる火災や事故を防止するため、防火ポスターの掲示や巡回などの対策を行っています。また、一部の駅では夜間閉鎖や一時締め出しなどの措置が取られています。

STBに対する意見

STBの是非については、旅行者や鉄道ファンの間で意見が分かれています。

否定派は、STBを「ホームレスと同じ」「住民に迷惑をかける行為」として批判します。一方、肯定派は「これこそ旅の原点」と主張し、STBの魅力を擁護します。

STBを行う際は、マナーを守り、周囲に配慮することが重要です。無人駅を利用する地元住民に迷惑をかけないよう、静かに過ごし、ゴミは必ず持ち帰りましょう。

STBの現状

近年、鉄道会社の管理が厳格化され、夜間閉鎖される駅が増加しています。また、夜行列車が深夜帯に停車する駅でも、ホームレス対策として一時締め出しが行われることがあります。そのため、STBができる駅は減少傾向にあります。

しかし、空港ターミナルビルでは、格安航空会社の普及により、24時間開放される場所が増えています。空港でのSTBは、早朝・深夜便を利用する旅行者にとって便利な選択肢となっています。

STBに関する書籍・作品

『日本縦断鈍行最終列車』（種村直樹著）
『究極超人あ〜る』（ゆうきまさみ著）
『山を渡る -三多摩大岳部録-』（空木哲生著）
待合室 (映画)

関連用語

カニ族
秘境駅
横見浩彦
牛山隆信
車中泊
夜行列車
* 完乗

まとめ

STBは、手軽に旅費を節約できる魅力的な選択肢ですが、法的な問題や安全性のリスクも伴います。STBを行う際は、マナーを守り、周囲に配慮するとともに、自己責任で安全に配慮した旅を心がけましょう。

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