STS-79

スペースシャトル STS-79 ミッション詳細

STS-79は、スペースシャトル・アトランティスによって実行された79回目のミッションであり、シャトル・ミール計画における重要な一環でした。このミッションの主な目的は、宇宙ステーションミールへの設備、物資、そして交代要員の輸送です。また、アトランティス内では、様々な科学実験も実施されました。

ミッションのハイライト

STS-79は、プリローダの到着によって宇宙ステーションミールが完成して以来、初のドッキングとなりました。アトランティスには1821kgのアンドロジナスドッキング機構が搭載されていました。この飛行のハイライトは、ロシアのミールに長期滞在していた最初のアメリカ人クルーであるシャノン・ルシッドが地球に帰還したこと、そしてミールとの4度目のドッキングです。ルシッドはSTS-76でミールに到着し、188日間の宇宙滞在は当時のアメリカにおける新記録であり、女性宇宙飛行士の宇宙滞在記録としても世界一となりました。

ルシッドの後任としてミールに到着したのがジョン・ブラハです。彼は1997年1月にジェリー・リネンジャーと交代し、STS-81のクルーとして地球に帰還しました。

スペースハブモジュールの利用

STS-79は、シャトルとミールのドッキングを支援するスペースハブモジュールの2度目の飛行であり、ダブルモジュール構成としては初の飛行でした。ダブルモジュールの前方部分は、シャトルでの宇宙滞在中、クルーによって実験が行われるスペースとして利用されました。後方部分はミールへの輸送装置として機能し、食料、衣類、実験器具、消耗品、予備機器など、合計4774kgの物資が搭載されていました。

ドッキングと物資の移動

シャトルとミールの通信接続は9月18日に行われ、ハッチは9月19日に開かれました。ブラハとルシッドは11時に正式に交代しました。ミールでは、第22期長期滞在の司令官であるワレリー・コルズンとフライトエンジニアのアレクサンドル・カレリがブラハを迎えました。5日間のドッキング中、ブラハとルシッドは、1814kgを超える補給品をミールに運び込みました。これには、食料、アトランティスの燃料電池から生成された水などが含まれます。

さらに、軟骨の発達研究のためのバイオテクノロジーシステム、高温超伝導材料の電気的特性を測定する装置、商用バイオプロセッシング装置など、3つの大規模な実験装置や、自己完結型水システムを含むいくつかの小規模な実験装置も移動されました。

実験試料の交換

ミールからは約907kgの実験試料と装置がアトランティスに運び込まれました。ステーションに出し入れされた合計の重量は、2722kgを超えています。ルシッドは6ヶ月間の滞在中、先進技術、地球科学、基礎生物学、人類生命科学、微小重力研究、宇宙科学など、様々な分野の研究を行いました。

具体的には、ミールでの電離放射線レベルを把握する環境放射線測定、植物への微小重力の影響を研究するための実験、長期宇宙飛行が人間の免疫系に与える影響を調査する実験などが行われました。これらの研究の一部は、ルシッドのミール滞在中に到着したプリローダを利用して実施されました。

アトランティスでの実験

宇宙で高温加工が可能な新設計炉、複数のタンパク質を含む試料を扱う実験、地球の表層土砂の挙動を理解するための実験など、3つの実験がアトランティスでも継続されました。

リスク軽減実験と軌道調整

他のシャトル・ミール飛行と同様に、国際宇宙ステーションの開発リスクを減らすための実験も行われました。ペイロードへの振動を緩和する実験用棚が初めて利用されました。ミッションの終わりには、アトランティスの軌道を下げるための小型バーニアジェットの利用試験も行われました。

関連項目

* シャトル・ミール計画

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