STS-80

STS-80：スペースシャトル コロンビア号による最長ミッション

STS-80は、スペースシャトル・コロンビアによって1996年に行われたミッションです。当初は1996年10月31日に打ち上げが予定されていましたが、いくつかの理由により延期され、11月19日に打ち上げられました。着陸も12月5日の予定から悪天候のため2日間延期され、12月7日となりました。

ミッション概要

このミッションは、スペースシャトルとしては当時最長の17日と15時間53分という記録的なものとなりました。主な目的は、2つの人工衛星を展開し、任務終了後に回収することでした。また、ジョーンズとジャニーガンによる2回の船外活動（宇宙遊泳）も予定されていましたが、エアロックハッチの不具合により、残念ながら中止となりました。

乗組員

船長：ケネス・コックレル（3度目で最後の宇宙飛行）
操縦手：ケント・ロミンガー（2度目で最後の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト1：ストーリー・マスグレーブ（6度目で最後の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト2：トーマス・デイヴィッド・ジョーンズ（3度目の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト3：タマラ・E・ジャーニガン（4度目の宇宙飛行）

着陸の際、マスグレーブは頭上の窓から大気圏再突入の様子を撮影するため、フライトデッキに留まりました。

ミッションのハイライト

2つの人工衛星の展開と回収
Orbiting and Retrievable Far and Extreme Ultraviolet Spectrometer-シャトルパレット衛星 II (ORFEUS-SPAS II)：飛行初日に展開、16日目に回収
ウェークシールドファシリティ(WSF-3)：飛行4日目に展開、3日後に回収
スペースシャトル史上最長のミッション
マスグレーブ飛行士は、チャレンジャー、アトランティス、ディスカバリー、エンデバー、コロンビアの5つのスペースシャトル全てに搭乗した唯一の人物となりました。（当時）
マスグレーブ飛行士は、宇宙飛行回数と最年長宇宙飛行の記録を樹立（当時。後に更新）

ペイロード

コロンビアは、以下のペイロードを搭載していました。

ORFEUS-SPAS II
ウェークシールドファシリティ (WSF-3)
Space Experiment Module (SEM)
NIH-R4
Biological Research in Canister (BRIC)
Visualization in an Experimental Water Capillary pumped Loop (VIEW-CPL)
Commercial Materials Dispersion Apparatus Instrumentation Technology Associates Experiment (CCM-A)
Commercial MDA ITA Experiment (CMIX-5)
その他、EVA開発飛行試験 (EDTF-5)関連の様々な装置

科学プロジェクト

ORFEUS-SPAS II

遠紫外線と極端紫外線の2つの分光計を備えた望遠鏡がメインの人工衛星です。月から銀河外恒星、クエーサーまで、およそ150個の天体について422の観測を行いました。以前の飛行時よりも高感度な機器が用いられたため、約2倍のデータが得られました。

ウェークシールドファシリティ (WSF)

高度な電子機器に用いられる半導体薄膜の生産を可能にするため、その背後に高度な真空を作り出す装置です。3日間の稼働で7枚の薄膜を作成しました。

Space Experiment Module (SEM)

選ばれた学生たちの実験を行うプロジェクトです。宇宙空間での食物上の細菌の成長や宇宙での結晶成長、振り子に対する微小重力の影響の分析等が行われました。

NIH.R4

アメリカ国立衛生研究所とオレゴン研究科学大学による実験で、循環器と血管狭窄に対する宇宙飛行の影響を試験するために設計されました。

Biological Research in Canister (BRIC)

タバコとトマトの種子に対する無重力の影響を調査しました。

Visualization in an Experimental Water Capillary Pumped Loop (VIEW-CPL)

宇宙船の熱管理に関する新しいアイデアを試験しました。

商業的なMDA ITA実験

高校や中学の生徒から提案された様々な実験を行うものでした。

ミッションの背景

1996年1月17日に宇宙飛行士が選出され、9月9日に固体ロケットブースター(SRBs)への燃料注入が始まりました。しかし、オービタの窓の交換や、ノズルの腐食問題などが発生し、打ち上げは度重なる延期を余儀なくされました。

起床コール

NASAはジェミニ計画の際に、宇宙飛行士のために音楽をかける伝統を始めました。各々の曲は、宇宙飛行士の家族が特別に選んだもので、乗組員にとって特別な意味のあるものや、その日の活動に適したものが選ばれます。

関連項目

有人宇宙飛行の一覧
スペースシャトルのミッション一覧
STS-78'>STS-78 - 16日21時間のミッション
STS-67'>STS-67 - 16日15時間のミッション
* STS-73'>STS-73 - 15日21時間のミッション

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