ケネス・コックレル

ケネス・コックレル：宇宙への情熱を燃やした技術者

ケネス・デイル・"タコ"・コックレル（Kenneth Dale "Taco" Cockrell、1950年4月9日生まれ）は、アメリカ合衆国の宇宙飛行士、技術者であり、5回にわたるスペースシャトル計画のミッションに参加しました。彼は1997年から1998年まで、アメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙飛行士室長を務めました。

NASA以前のキャリア

コックレルは、テキサス州オースティンで生まれました。1968年にロックデール高校を卒業後、1972年にテキサス大学オースティン校で機械工学の学士号を取得し、同年にアメリカ海軍に任官されました。その後、1974年にウェストフロリダ大学で航空システムの修士号を取得しました。

パイロットとしての訓練を積んだ彼は、1975年から1978年にかけて航空母艦ミッドウェイに乗り組みました。その後、数年間テストパイロットを務め、コンステレーションでの2年間の遠征にも参加しました。1987年に海軍を退役し、ジョンソン宇宙センターにリサーチパイロットとして加わりました。

NASAでのキャリア

1990年1月にNASAに選抜され、1991年7月に宇宙飛行士となりました。宇宙飛行士室では、着陸、ロールアウト、タイヤやブレーキに関する課題への取り組み、ミッションコントロールセンターでの効果や大気圏再突入の支援、飛行データファイルの管理、スペースシャトルに搭載する手順書の作成など、多岐にわたる業務を担当しました。

彼はまた、シャトルの運用やハードウェアを担当する宇宙飛行士室長補佐、そして宇宙飛行士室長も務めました。さらに、1年間、ロシアのスターシティで運用ディレクターを務め、NASAの宇宙飛行士室と、スターシティのガガーリン宇宙飛行士訓練センターの訓練組織との連携を強化しました。現在もT-38の教官として後進の指導にあたっています。

コックレルは、5回の宇宙飛行を経験し、宇宙での滞在時間は合計1560時間以上に及びます。1993年4月のSTS-56ではミッションスペシャリスト、1995年9月のSTS-69では操縦手、1996年11月から12月のSTS-80、2001年2月のSTS-98、2002年6月のSTS-111では船長を務めました。

2006年2月からは、エリントンフィールド予備役合同基地で、WB-57高高度研究計画のマネージャーを務めています。NASAが保有する2機のWB-57F研究機を運用し、研究飛行では自らパイロットも務めます。加えて、宇宙飛行士の飛行訓練において、T-38の教官としても貢献しています。

宇宙飛行経験

STS-56: スペースシャトル・ディスカバリーを使用し、ATLAS-2を運搬。太陽活動が地球の気候や環境に与える影響を調査するため、大気と太陽の研究を行いました。（1993年4月8日打ち上げ、4月17日着陸）
STS-69: スペースシャトル・エンデバーを使用し、SPARTAN衛星とウェークシールドファシリティを展開・回収。ウェークシールドファシリティは、宇宙船後方の超高真空を利用して半導体などの材料成長への影響を評価する目的で設計されました。（1995年9月7日打ち上げ、9月18日着陸）
STS-80: スペースシャトル・コロンビアを使用し、ウェークシールドファシリティとORFEUS衛星を展開・回収。ORFEUSの機器は、恒星の起源と形成に関する研究に用いられました。（1996年11月19日打ち上げ、12月7日着陸）
STS-98: スペースシャトル・アトランティスを使用し、国際宇宙ステーション（ISS）の建設を継続。アメリカの研究モジュール「デスティニー」を輸送し、設置作業、ドッキングポートの移動、補給品の運搬などを行いました。（2001年2月7日打ち上げ、2月20日着陸）
* STS-111: スペースシャトル・エンデバーを使用し、ISSへの新しい滞在者と、カナダ製ロボットアーム用のモバイルベースを輸送。ロボットアームの関節交換や研究設備の運搬、長期滞在クルーの帰還も行われました。（2002年6月5日打ち上げ、6月19日着陸）

受賞

コックレルは、w:National Defense Service Medal、w:United States Naval Aviator、w:United States Astronaut Badgeなど、数々の勲章を受章しています。

私生活

テキサス州フレンズウッドに在住し、2人の子供がいます。趣味は飛行機の操縦、スキー、ウォータースキーなど。同僚の宇宙飛行士からは、"Taco"という愛称で親しまれています。

ケネス・コックレルは、その卓越した技術力と宇宙への情熱で、アメリカの宇宙開発に大きく貢献した人物です。

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