SUPER FLIGHT

Super Flight（スーパー・フライト）

『Super Flight』は、日本の著名なフュージョン・グループであるカシオペアが、1979年にリリースした2枚目のスタジオ・アルバムです。

音楽性とハイライト

このアルバムは、デビュー作『CASIOPEA』で打ち出したハードかつテクニカルなサウンドから一歩進み、よりメロディアスでポップな音楽性へと焦点を移した作品として位置づけられます。前作の持つタイトなアンサンブルの魅力はそのままに、本作では親しみやすいメロディと洗練されたアレンジが加わり、カシオペアの音楽的な幅広さを示すこととなりました。

『Super Flight』には、現在に至るまでカシオペアの代表曲として多くのファンに親しまれている「ASAYAKE」が初めて収録されました。この楽曲は、美しい旋律と躍動感あふれる演奏が融合した、バンドを象徴する一曲です。また、カシオペアが初めてCMソングとしてタイアップされた楽曲「アイ・ラブ・ニューヨーク」も収められています。これらの楽曲の収録は、バンドがより広い層に認知されるきっかけとなり、アルバムの商業的な成功にも寄与しました。

参加ミュージシャン

本作のサウンドの多様性と深みは、カシオペアのレギュラーメンバーである4人に加え、多数のゲストミュージシャンが参加したことによって実現されています。メンバーは、ギターの野呂一生（エレクトリック、エレクトリック・フレットレス）、キーボードの向谷実（エレクトリックピアノ、アコースティックピアノ、オルガン、ペダル・ベース、シンセサイザー）、ベースの桜井哲夫（エレクトリック、エレクトリック・フレットレス）、そしてドラムスの佐々木隆です。彼らの盤石な演奏を基盤に、ドラマーの風間幹也やパーカッションのペニー伊藤が加わり、リズムセクションに厚みと色彩を加えています。

さらに、本作の大きな特徴の一つとして、豪華なホーンセクションとストリングスの導入が挙げられます。トランペットの羽鳥幸次、荒木敏男、トロンボーンの新井英治、サックスのジェイク・コンセプション、村岡建、砂原俊三といった一流の管楽器奏者たちが、楽曲に華やかさとダイナミズムを与えています。また、Tomato Stringsによるストリングスアレンジと、それを指揮した深町純の貢献により、一部の楽曲では豊かな叙情性が表現されています。特定の楽曲ではヴォーカリストのデブラ・コレルが参加しており、アルバム全体のサウンドに多様なアクセントを加えています。

制作チーム

『Super Flight』の制作は、村井邦彦と川添象郎がエグゼクティブ・プロデューサーとして、宮住俊介と沢田信二がプロデューサーとして全体の統括を行いました。サウンド面では、吉沢典夫がレコーディングおよびミキシング・エンジニアを務め、高品位な音作りを実現しました。アートディレクションとデザインはALPHABETが担当し、イラストレーターの大久保敏邦によるアートワークがアルバムのビジュアルイメージを形作っています。また、音楽評論家の竹村淳がライナーノートを執筆し、作品の世界観や背景を解説しました。

このアルバムは、カシオペアが初期のキャリアにおいて音楽的な進化を遂げた重要な作品であり、代表曲の誕生や多様な楽器編成を取り入れたサウンドプロダクションによって、日本のフュージョンシーンにおける彼らの地位を確固たるものとする上で欠かせない一枚と言えるでしょう。

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