SWAC (陸上競技)

SWAC（エス・ダヴリュウ・エイ・スィー）は、日本の陸上競技、特に長距離走およびマラソンに特化したクラブチームを運営する企業です。東京都に本社を置き、選手の育成や、現役を終えたアスリートの新たなキャリア形成を支援することを活動の柱としています。

この組織のルーツは、2007年4月1日に設立された「セカンドウィンドAC」にあります。創設者は、当時、日本の実業団陸上界で実績のある資生堂ランニングクラブの監督を務めていた川越学氏です。川越氏は、単に陸上選手を育てるだけでなく、競技生活を終えた選手たちが新たな道を歩むための支援の場を提供することを目指し、資生堂から独立してこのクラブを立ち上げました。設立当初は、資生堂RCから移籍した複数の選手も加わり、新たな船出となりました。「セカンドウィンド（Second Wind）」という言葉には、長距離走などで苦しい局面を乗り越えた時に訪れる、呼吸が楽になり再び活力が湧いてくる状態、つまり困難を克服して新しい可能性が開ける、といった意味が込められており、設立の理念を象徴しています。

セカンドウィンドACは、有限責任事業組合として運営されていましたが、2012年11月末をもってその業務を終了しました。そして、同年12月からは「株式会社 SWAC」へと組織の形態と名称を改め、現在に至ります。

SWACは東京の本社機能を核としつつ、活動範囲を全国に広げています。2011年4月に最初に開設された大阪支部を皮切りに、横浜、四日市、広島にも地域密着型の支部が設けられ、それぞれの地域でランニング愛好家や競技者への指導・サポートを行っています。かつては、東京都内の六本木や北海道の札幌にも支部が存在しましたが、現在は活動を終えています。

組織のリーダーシップは設立以来、複数の人物に引き継がれています。創設者である川越学氏は、2013年3月に監督業を退きました。その後、2013年4月からは元所属選手の嶋原清子氏がクラブのリーダーを務めました。同時期である2013年には、西和三郎氏が代表取締役に就任し、組織全体の運営を担いました。そして、2019年12月からは、早稲田大学時代に箱根駅伝を含む大学駅伝三冠を達成し、実業団の旭化成でトラック・ロード双方で活躍した後、プロランナーとしても活動した八木勇樹氏が新たな代表取締役に就任し、現在もその指揮を執っています。

SWACは、設立目的である選手の育成と引退後の支援を実現するための様々な活動を展開してきました。その歴史の中で、国内外で著名な多くの選手や経験豊富なコーチングスタッフがSWACに所属しました。例えば、初期には日本を代表する女子マラソンランナーである加納由理氏や吉田香織氏、そして海外からもマーラ・ヤマウチ氏のようなトップアスリートが在籍していました。また、真鍋裕子氏、大久保絵里氏、萩原梨咲氏、藤田可南子氏などもこの組織で活動しました。コーチ陣では、比嘉正樹氏、山内美根子氏、真鍋未央氏などが指導にあたりました。これらの人材は、SWACでの経験を活かし、現在も日本の陸上界の様々な場所で活躍しています。現在の代表である八木勇樹氏も、自身の経験を活かし、選手指導やクラブ運営に尽力しています。2020年4月からは、新たな所属選手として池本愛氏が加わるなど、常に新しい人材を受け入れながら活動を続けています。

SWACは、単なる競技力向上を目指すクラブにとどまらず、選手一人ひとりの人生全体をサポートするというユニークな理念のもと活動しています。長距離・マラソンの専門クラブとして、競技レベル向上への貢献はもちろん、アスリートが競技人生を終えた後も社会に貢献できる人材となるよう支援し、日本の陸上競技の発展に多角的に貢献していくことを目指しています。

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