SWS

SWS（スーパー・ワールド・スポーツ）

SWSとは、かつて存在した日本のプロレス団体であり、正式名称は「スーパー・ワールド・スポーツ」です。1990年に設立されたこの団体は、メガネスーパーという企業の支援のもと、数々のプロレス団体から選手を引き抜き、一大勢力を築き上げました。

設立の背景と旗揚げ

SWSは、天龍源一郎を中心に全日本プロレスや新日本プロレスから選手が集まり、旗揚げされました。1990年5月に新団体として正式に活動を開始しましたが、SWSの設立前からメガネスーパーは異業種からのプロレス界への参入を模索していました。そして、他団体からの選手引き抜きにより、プロレス界に大きな変革をもたらす存在となりました。

団体の設立初期から、メガネスーパーの資金力を背景に突き進み、プロレス界の「黒船」と称されるほどの影響力を持ちました。特に、選手には高額な給料が支給されていたのは当時としては珍しいことで、エースの天龍源一郎は当時の日本プロ野球選手に匹敵するほどの年俸を得ていたとされています。

旗揚げ戦

SWSの最初の公式戦として、湿潤な気候の福井市体育館で「越前闘会始」が開催され、続く横浜アリーナでの『闘会始 '90』が正式な旗揚げ戦となりました。この大会は大きなメディアの注目を集め、テレビ東京が中継を行いました。この試合は、団体の名称が広がりを見せるきっかけとなりました。

独特な運営スタイル

SWSは、一般企業を親会社に持つ「企業プロレス」としての特異な運営スタイルを採用しました。このスタイルは、プロレス団体にとって新しい試みであり、特に「部屋別制度」という独自の制度を導入したことが特徴的です。

この制度は、選手たちを部屋に分け、部屋対抗戦を行うというものでした。天龍源一郎が主導する『レボリューション』、若松市政が指揮する『道場・檄』、ジョージ高野が運営する『パライストラ』の三派閥で構成されていましたが、次第に部屋別制度は内部対立の原因となってしまいました。

内部対立と不祥事

SWSの発展には、競争や選手間の連携が重視される一方で、部屋別制度の導入が逆に派閥競争を招く結果となり、特に天龍派と反天龍派の間で緊張関係が生まれました。この抗争は選手たちの不満を露呈させ、内部の結束を弱めていく要因となりました。

特に注目される出来事が、「北尾事件」と呼ばれるもので、北尾光司が試合後に公開の場で「八百長」発言を行った結果、メディアやファンから大きな非難を受け、北尾は解雇されることになりました。このようなトラブルの影響で団体は次第に求心力を失っていきました。

崩壊へ

1992年、天龍派と反天龍派の対立が決定的となり、団体としての運営が行き詰まる中で、正式に活動を休止することが決定しました。その結果、天龍を中心に『WAR（レッスル・アンド・ロマンス）』が設立され、反天龍派は『NOW（ネットワーク・オブ・レスリング）』として分裂しました。この分裂は、SWSが抱えていた問題を一層浮き彫りにすることとなりました。

影響と教訓

SWSの短い歴史は、日本のプロレス界における多くの示唆に富んだ教訓となりました。特に選手の給与や待遇の向上、部屋別制度の導入、企業スポンサードの利点とリスクなど、当時の他団体にも影響を及ぼしました。

最終的に、約2年弱の活動で99億円もの資金が投じられたにも関わらず、SWSは活動休止を余儀なくされました。今後の団体運営に関しては、選手間の信頼関係と連携がいかに重要であるかを強調し、後の団体がこの教訓をどのように生かしていくかが問われるでしょう。

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