S/2004 S 3

S/2004 S 3：謎に包まれた土星の天体

S/2004 S 3は、土星のF環のすぐ外側を公転していると考えられている天体です。2004年6月21日に、土星探査機カッシーニによって撮影された画像の中から、カッシーニ撮像チームのメンバーであるカール・マレーによって発見されました。同年9月9日には、国際天文学連合のサーキュラーでその発見が公表されました。

しかし、発見報告以降、S/2004 S 3は再発見されておらず、現在は見失われた状態にあります。このため、S/2004 S 3が本当に固体としての衛星なのか、それとも一時的に集まった粒子塊（clump）なのかについて、議論が続いています。

発見とS/2004 S 4|S_2004 S 4との関係

S/2004 S 3の発見からわずか5時間後には、S/2004 S 4|S_2004 S 4という別の天体も発見され、同時に公表されました。S/2004 S 4|S_2004 S 4はF環の内側を公転しており、軌道が異なるため別々の天体として扱われましたが、F環を横切るような軌道を持つ同一の物体である可能性も指摘されています。

これらの天体が、F環とはわずかに異なる軌道傾斜角で公転している場合、環の外側と内側を行き来しているように見えても、実際にはF環の物質の中を通過しない可能性があります。発見報告の段階では、S/2004 S 3とS/2004 S 4|S_2004 S 4が同一の天体なのか、また固体衛星なのか、一時的な粒子塊なのかは不明確でした。

再発見と消失の可能性

発見から118日後の10月17日には、カッシーニ撮像チームによってS/2004 S 3の再発見が報告されました。この時の軌道推定から、S/2004 S 3はS/2004 S 4|S_2004 S 4とは異なる天体であることが明確になったとされました。しかし、この報告は2006年に行われた別の報告とは一致しませんでした。

その後、再発見の試みが続けられましたが、S/2004 S 3を再発見したという報告はされていません。特に、2004年11月15日に行われた、解像度4kmで軌道全体をカバーした撮像調査でも、S/2004 S 3を再発見することはできませんでした。このことから、S/2004 S 3は一時的に集まった粒子塊であり、この観測が行われるまでに消失してしまった可能性が指摘されています。

S/2004 S 3の推定される性質

もしS/2004 S 3が実在する固体天体であった場合、その明るさから、直径は3～5km程度と推定されます。また、軌道長半径は140,100～140,600kmで、約0.62日周期で公転していると推定されています。S/2004 S 3は、F環の羊飼い衛星である可能性も指摘されています。

結論

S/2004 S 3は、発見されてから再発見されていない謎の天体です。固体衛星であるか、一時的な粒子塊であるか、その実態は未だ解明されていません。今後の観測によって、この謎が解き明かされることが期待されます。

出典
* S/2004 S 3

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