Sapphire Rapidsマイクロプロセッサ

Sapphire Rapids（サファイアラピッズ）は、インテルが開発した最新のサーバー向けマイクロプロセッサであり、2023年1月10日に正式発表されました。このプロセッサは、第4世代Intel Xeon Scalableプロセッサとして製品化され、データセンターや高性能コンピューティング環境における要求に応えるべく設計されています。

概要

Sapphire Rapidsは、Intel 7（旧称10nm Enhanced SuperFin）プロセス技術を用いて製造されています。このプロセスにより、電力効率と性能の両面で大幅な向上が実現しました。また、このプロセッサでは、新たなマイクロアーキテクチャが導入され、以前の世代で用途によって分かれていたアーキテクチャ（Cooper LakeとIce Lake-SP）が統合されました。これにより、より柔軟で高性能なサーバーシステムの構築が可能になります。

インテルは、2020年6月にはSapphire Rapidsの最初のシリコンが動作し、テスト段階に入っていたことを公表しています。この開発には長い期間が費やされ、最新技術を搭載したプロセッサとして市場に投入されました。なお、Sandy Bridge世代以降、サーバー向けとクライアント向けプロセッサの開発コードが統一されていましたが、Sapphire Rapidsからは異なる開発コードが用いられるようになりました。クライアント向けプロセッサであるAlder Lakeは、高性能コア（Pコア）と高効率コア（Eコア）を併用したハイブリッドアーキテクチャを採用していますが、サーバー向けのSapphire RapidsではPコアのみで構成されています。この設計の違いは、サーバー環境での要求性能と電力効率のバランスを最適化するためのものです。

2023年6月22日には、このプロセッサが搭載されたスーパーコンピュータ「Aurora」が完成したことが発表されました。これは、Sapphire Rapidsが最先端のコンピューティング環境においてもその性能を発揮できることを示しています。

特徴

Sapphire Rapidsの主な特徴は以下の通りです。

Intel 7プロセス: 最新の製造プロセスにより、電力効率と性能が向上しています。
Advanced Matrix Extensions (AMX): AIや機械学習のワークロードを高速化するための拡張命令セットが搭載されています。
DDR5対応: 最新のDDR5メモリに対応し、より高速なデータ転送が可能です。
HBM3対応: 高帯域幅メモリであるHBM3に対応し、メモリボトルネックを解消します。
PCIe Gen5: 最新のPCIe Gen5規格に対応し、高速なデータ転送が可能です。
1-8ソケット: 1ソケットから最大8ソケットまでのマルチプロセッサ構成に対応します。
LGA 4677: 新しいソケット規格であるLGA 4677が採用されています。
Eagle Streamプラットフォーム: 新しいプラットフォームであるEagle Streamに対応しています。

製品一覧

Sapphire Rapidsには、用途に応じた複数のモデルが用意されています。

Sapphire Rapids-HBM: 高帯域幅メモリ（HBM）を搭載したモデル。
対応ソケット: LGA4677
Sapphire Rapids-SP: 標準的なサーバー向けのモデル。
対応ソケット: LGA4677
Sapphire Rapids-W: ワークステーション向けのモデル。
対応ソケット: LGA4677

これらのモデルは、それぞれ異なる特性を持っており、多様なニーズに対応することができます。

脚注

Sapphire Rapidsは、インテルのサーバー向けプロセッサの最新世代として、高性能コンピューティング、データセンター、AIなどの分野で重要な役割を果たしています。その高い処理能力と最新技術の搭載により、今後のサーバー市場を牽引する存在として期待されています。

関連項目

Cooper Lakeマイクロアーキテクチャ
Ice Lakeマイクロアーキテクチャ
* Emerald Rapids マイクロプロセッサ

もう一度検索