Servo

Servo(サーボ)は、Mozilla Researchによって2012年に開発が開始されたウェブブラウザ向けの革新的なレイアウトエンジンです。2016年に初のデベロッパープレビュー版が公開され、その後、サムスンによってAndroidおよびARMプロセッサへの移植が行われました。このエンジンは、その設計思想において、高度な並列処理を重視しており、多くのコンポーネントが独立したタスクとして処理される点が大きな特徴です。

Servoのアーキテクチャは、レンダリング、レイアウト、HTML解析、画像復号といった主要な処理を、それぞれが独立したタスクとして並行して実行できるように設計されています。これにより、従来のブラウザエンジンと比較して、より効率的かつ高速なウェブページのレンダリングが可能になります。この並列処理の実現には、プログラミング言語Rustが採用されており、その安全性と並列処理能力が最大限に活用されています。

プロジェクト名の「Servo」は、人気テレビ番組『ミステリー・サイエンス・シアター3000』に登場するロボット「トム・サーボ」に由来しています。このユニークな名前からも、開発チームの遊び心と革新への情熱が伺えます。

2017年11月には、Firefox 57以降のバージョンにServoのCSSスタイルエンジンが組み込まれ、FirefoxのレンダリングエンジンであるGeckoの一部がServoに置き換えられるようになりました。これは、Servoの技術が実用的なレベルに達したことを示す重要な出来事であり、Firefoxのパフォーマンス向上に大きく貢献しました。

2020年11月には、MozillaからLinux Foundationへとプロジェクトが移管されました。この移管に伴い、プロジェクトの管理とサポートを行うための役員会と技術運営委員会が設立され、よりオープンで持続可能な開発体制が整えられました。

Servoの主な特徴



高いレンダリング能力: Servoは、複雑なウェブページ(例えば、ウィキペディアのようなページ)を正確にレンダリングすることができ、Acid2テストにも合格しています。
並列レイアウトアルゴリズム: 独自の並列レイアウトアルゴリズムを搭載しており、複数の処理を同時に行うことで高速なレンダリングを実現します。
Rustによる実装: CSS3とHTML5のパーサは、Rust言語で実装されており、その高いパフォーマンスと安全性が保証されています。
GPUアクセラレーション: GPUアクセラレーションを活用することで、さらに高速なウェブページのレンダリングが可能になります。
ベンチマーク: 2014年の時点で、ServoはGeckoよりも優れたベンチマークスコアを記録しており、その高い性能が実証されています。

Servoは、ウェブブラウザの未来を担う可能性を秘めたプロジェクトであり、Linux Foundationのもとで、今後もその進化が期待されます。

外部リンク



公式ウェブサイト
* Servo Blog

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