Soulコブラツイスト〜魂の悶絶

Soulコブラツイスト〜魂の悶絶：桑田佳祐のポップで王道の魂の叫び

2021年8月30日、桑田佳祐の3作目の配信シングル「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」がリリースされました。タイシタレーベル/SPEEDSTAR RECORDSより配信・ストリーミングで発売され、後にリリースされたミニアルバム『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』からの先行配信シングルとして注目を集めました。

この楽曲は、当初7、8、9月の3ヶ月連続配信シングルリリース企画の一環として構想されましたが、急遽8月中にリリースされることになり、ファンの期待を大きく高めました。

制作秘話：コロナ禍と昭和歌謡の邂逅

「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」は、2020年9月、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、片山敦夫氏らと共にレコーディングされた3曲のうちの1曲です。2021年4月にボーカル収録が行われ、楽曲が完成したことが『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』制作のきっかけとなりました。桑田佳祐自身、この楽曲をアルバムの1曲目として構想していたわけではなく、完成後にアルバム制作へと繋がったという点が興味深いエピソードです。

音楽性：モータウンと歌謡曲の融合

音楽評論家やライターからの評価は高く、様々な視点からの考察がなされています。渋谷陽一氏は、桑田佳祐のソロ作品におけるサザンオールスターズとの差別化を評価しつつ、本作がポップで王道、正面突破なスタイルであることを高く評価しました。一方、音楽ライターの森朋之氏は、アレンジやリズムに着目し、モータウンサウンドの影響を指摘。桑田佳祐が最も得意とするスタイルの一つであり、日本の歌謡曲の基礎的な形式を踏襲している点を評価しています。「幸せになれるワケはないのに」の部分のユニークな発音も、楽曲のグルーヴ感を高める重要な要素として挙げられています。

原由子氏は、桑田佳祐が週刊文春で連載していた「ポップス歌手の耐えられない軽さ」との関連性にも触れ、自身の音楽的ルーツや歌謡曲への再認識が本作の創作に影響を与えたと述べています。また、映画『浅草キッド』の監督を務めた劇団ひとり氏も、この楽曲を映画の主題歌として起用した理由について、作品の世界観と見事に調和する爽快感と高揚感を評価しています。大泉洋氏、柳楽優弥氏ら出演者も、主題歌としての「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」への高い評価をコメントしています。

楽曲の魅力：昭和歌謡へのオマージュと現代的なサウンド

「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」は、桑田佳祐の幼少期の思い出である昭和歌謡ポップスとプロレスへのリスペクトが込められた楽曲です。タイトルにもなっている「コブラツイスト」は、アントニオ猪木選手の必殺技から取られています。歌詞は、フラれても諦めずに幸せを求め続ける男の姿を描写し、人生の苦悩と希望を繊細に表現しています。歌詞には、桑田佳祐が学生時代に視聴していた『寺内貫太郎一家』や『ムー一族』といったテレビドラマの影響が見られます。これらのドラマが扱っていた「死」「孤独」「老い」「障害」「差別」といったダークなテーマが、桑田佳祐の感性に強い刺激を与えたと語られています。軽快なビートと切なさを併せ持つメロディーは、聴く者の心を掴んで離しません。「ヒッヒッヒッヒッ」という楽曲中のユニークなパートは、郷ひろみと樹木希林の「お化けのロック」をイメージしたものであると明かされています。

プロモーションとチャート成績

ミュージックビデオでは、架空の音楽賞レース『第13回 翔く!日本年末音楽大賞』で桑田佳祐が受賞する設定で、白いタキシード姿で歌唱するシーンが描かれています。これは、1971年の『第13回日本レコード大賞』で尾崎紀世彦が「また逢う日まで」を歌唱したシーンを参考に制作されました。YouTubeでプレミア公開され、大きな話題となりました。ユニクロのCMソングとして起用された他、Netflix独占配信映画『浅草キッド』の主題歌にも起用され、多方面でプロモーション展開が行われました。2021年9月13日付のオリコン週間デジタルランキングでは初登場2位を記録しました。

まとめ：時代を超える普遍的な魅力

「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」は、昭和歌謡への深い理解と現代的なサウンドプロダクションが見事に融合した、桑田佳祐の代表作と言えるでしょう。その魅力は、世代を超えて多くの人々の心を掴み、長く愛される楽曲となることは間違いありません。歌詞、メロディー、アレンジ、そしてプロモーション戦略の全てにおいて、桑田佳祐の音楽的才能とエンターテイメント性が高次元で融合した、まさに魂を揺さぶる作品です。

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