Squid (ソフトウェア)

Squidは、ウェブプロキシ、ウェブキャッシュサーバーとして広く利用されるオープンソースソフトウェアです。GPLライセンスの下で提供されており、その柔軟性と強力な機能から、様々なネットワーク環境で採用されています。

Squidの主な用途

Squidは、主に以下の二つの目的で利用されます。

1. ウェブキャッシュ: クライアントからの重複するリクエストに対し、キャッシュされたコンテンツを応答することで、ウェブサーバーの負荷を軽減し、応答速度を向上させます。これにより、ネットワーク帯域の節約にもつながります。
2. プロキシサーバー: ネットワークリソースを共有するユーザーのウェブアクセスやDNSクエリをキャッシュします。これにより、特にLAN環境において、インターネットアクセスの効率化を図ることが可能です。

Squidは、もともとUnix系のシステムで動作するように設計されましたが、現在では多様なオペレーティングシステムに対応しています。長年の開発により、HTTPやFTPといった主要なプロトコルに加え、TLS/SSLやHTTPSによるセキュアな通信もサポートしています。内部構造としては、初期のC言語からC++へと移行が進められています。

ウェブプロキシとしてのSquid

ウェブプロキシとしてのSquidは、クライアントがリクエストしたウェブページや画像を、ネットワーク上の近い場所に一時的に保存（キャッシュ）する機能を提供します。これにより、同じコンテンツへの再アクセス時には、キャッシュされたデータが利用されるため、ネットワーク帯域の節約と高速なページ表示が実現します。

ウェブブラウザは、SquidをHTTPプロキシとして利用し、これらの恩恵を受けることができます。この仕組みは、インターネットサービスプロバイダ（ISP）がユーザーのインターネットアクセスを高速化したり、企業内LANでインターネット接続を共有する際に、特に有効です。

また、プロキシサーバーとして、Squidはクライアントの代わりに情報を取得するため、匿名性やセキュリティの向上にも貢献します。プロキシの利用には、ブラウザでプロキシサーバーのアドレスを明示的に指定する方法と、透過プロキシと呼ばれる設定不要な方法があります。透過プロキシは、企業内ネットワークなどで広く利用されています。

Squidは、HTTPヘッダーの書き換え機能を利用することで、接続元の匿名性を高めることも可能です。詳細については、Squidのドキュメントでheader_accessやheader_replaceの項目を参照してください。

リバースプロキシとしてのSquid

Squidは、伝統的なプロキシサーバーとしての機能に加え、リバースプロキシとしても利用可能です。リバースプロキシは、多数のクライアントからのリクエストに対し、特定のサーバーのキャッシュを提供します。これは、ウェブサーバーのアクセラレーションとも呼ばれます。

例えば、実際のコンテンツを持つサーバーを`slow.example.com`とし、Squidによるリバースプロキシを`www.example.com`と設定します。クライアントが`www.example.com`上のコンテンツをリクエストすると、初回は`slow.example.com`からコンテンツが取得されます。しかし、一定期間内（設定による）は、そのコンテンツのコピーが`www.example.com`から提供されるようになります。

これにより、`slow.example.com`へのアクセスを大幅に減らし、サーバーの負荷やネットワーク帯域を節約することが可能になります。さらに、Squidは、通常のプロキシ機能とリバースプロキシ機能を、一つのサーバーで同時に稼働させることもできます。

移植性

Squidは、その高い移植性により、以下の様々なオペレーティングシステムで動作します。

Linux
FreeBSD
OpenBSD
NetBSD
BSDI
macOS
OSF and Digital Unix
IRIX
SunOS/Solaris
NeXTStep
SCO Unix
AIX
HP-UX
Windows

また、ウィキメディアのサーバーでも利用されていた実績があります。

まとめ

Squidは、ウェブキャッシュとプロキシサーバーの双方の機能を提供する強力なソフトウェアです。その多様な機能と高い移植性から、個人利用から大規模なネットワーク環境まで、幅広いシーンで活用されています。

外部リンク

公式ウェブサイト
Squid + PF - SquidとPFを用いた透過プロキシ
Logfile Analysis - ログファイル解析スクリプトの一覧
Squid Support: マニュアル、設定のヒント集など
Squid cache Configuration: マニュアル、設定のヒント集など

アドオン

Squidguard - フィルタリングのためのプラグイン
E2guardian - フィルタリング(Smart filtering)のためのプラグイン
Calamaris - ログファイルの解析ツール
Squeezer2 - ログファイルの解析ツール
SARG Squid Analysis Report Generator - ログファイルの解析ツール

キャッシュ動作の確認が可能なWebページ

web-caching.com: check page cacheability
analyze.forret.com: analyze HTTP headers and compare to Squid policy

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