StG58

StG 58：オーストリアの主力小銃

StG 58（Sturmgewehr 58）は、ベルギーのFN社が開発したFN FAL自動小銃をベースに、オーストリアで改良・開発された軍用自動小銃（アサルトライフル/バトルライフル）です。1958年にオーストリア連邦軍の主力歩兵銃として採用され、長らく同軍を支えました。

開発の背景

1950年代、オーストリア連邦軍は第二次世界大戦で使用された旧式の火器を装備していました。これらの更新を迫られる中、新型歩兵銃の候補として有力視されたのがFN FAL小銃でした。中でも、西ドイツ向けに設計されたG1小銃が特に高く評価されました。

StG 58の特徴

StG 58は、G1小銃の内部設計を基盤としていますが、オーストリア連邦軍の要求や第二次世界大戦の教訓に基づいた独自の改良が加えられています。

消炎器兼小銃擲弾発射機: 特徴的な消炎器は、22mm小銃擲弾発射機としても機能します。この多機能性は、戦場での柔軟な対応を可能にしました。
鉄条網切断機能: 消炎器の先端には、鉄条網を切断するための切り込みが設けられています。この切り込みに鉄条網を引っ掛け、発砲することで切断できます。これにより、障害物突破能力が向上しました。
G1小銃との共通点: 金属製ハンドガード、二脚、わずかに低い照準装置など、G1小銃と共通の部品も多く採用されています。これにより、部品の互換性が確保され、整備性も向上しました。

その後の改良

StG 58は、採用後も改良が続けられました。

軽量化: 金属製だった台尻は樹脂製に変更され、軽量化が図られました。さらに、銃床も木製から樹脂製に変更され、耐久性の向上と軽量化に貢献しました。
訓練用キャップ: 銃口にはK装置（K-Gerät）と呼ばれる訓練空砲用キャップを取り付けることが可能になりました。これにより、安全な訓練環境が提供されました。
着剣装置: 銃身部分には着剣装置が設けられていましたが、実際の使用頻度は低かったようです。

更新とその後

1977年、StG 58はStG 77（ステアーAUG）に更新され、第一線から退きました。しかし、現在でも陸軍衛兵大隊やテレジア陸軍士官学校の学生大隊などで、儀仗用として使用されています。

更新後、余剰となったStG 58の部品や工作機械、図面などは、アメリカの銃器メーカーであるDSA社に売却されました。DSA社は、これらの資源を活用してFN FAL小銃の製造・販売を行っています。

まとめ

StG 58は、FN FALを基にオーストリア独自の改良が加えられた名銃です。その開発背景や特徴、改良点を知ることで、軍用銃の進化と歴史を垣間見ることができます。現在でも、儀仗用として使用されている姿は、その信頼性と歴史的な価値を物語っています。


[参考資料]

* Sturmgewehr 58 - オーストリア陸軍公式ウェブページの装備解説

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