Still a long way to go

オフコースの14作目にして最後のオリジナルアルバム『Still a long way to go』は、1988年6月9日にリリースされました。

解説

前作『as close as possible』から、外部スタッフの参加がより頻繁になり、打ち込みを多用したサウンドへと移行したことで、オフコースは変革期を迎えます。メンバーそれぞれが力をつけていく中で、バンドとしての方向性に変化が生じました。

アルバム制作においては、吉田拓郎への作詞依頼が小田和正に伝えられていなかったことが発覚し、メンバー間のコミュニケーション不足が浮き彫りになります。この件について、小田は「一生懸命というのが“バンドがまとまる”ということと違う方に出てしまった」、清水仁は「あんなに怒った小田さんを見たのは後にも先にも初めて」と後に語っています。

アルバムタイトルの意味について、小田は「アインシュタインの相対性理論のように、どれだけ進んでも、まだ進むべき距離は変わらないと感じる。オフコースも同じように、活動年数に関係なく、常に先は長いと思っている」と述べています。

「陽射しの中で」と「僕らしい夏」には、元一風堂のベーシスト平田謙吾が参加。また、園山光博(Sax)は前年のコンサートツアーからサポートメンバーとして参加し、後に小田がソロになった際に結成されたFar East Club Bandのバンドマスターを務めます。

「君住む街へ」では、小田に加え、清水と松尾和彦がボーカルを担当。小田はこの曲について「やっとこういう曲が書けたという達成感でいっぱいだった」と語っています。

「昨日見た夢」は後に小田がシングル「so long my love」のカップリングとしてセルフカバーし、アルバム『LOOKING BACK』にも収録されました。

アルバム収録曲のうち、「君住む街へ」と「逢いたい」のベーシックトラックのみ、メンバー4人が同時に演奏。その他は作曲者が作成したデータにオーバーダビングを施したものが中心となりました。

サウンドの統一感について、小田は「今回は前回と違って、皆で同じ場所でレコーディングしたせいだと思う。同じ場所でやれば、誰か他のメンバーがやっているときは皆でそれを待っているわけで、『あっ、あの音良いね』とか『あのリズム良いね』なんて事が出てくる。そんなことが結果としてサウンド部分の統一感に結びついたのかもしれないね」と語っています。

アルバムリリース後のツアー中に、オフコースは解散を発表。その後、スペシャルライブ“The Night with Us”を最後に、オフコースは活動を終了しました。

収録曲

1. 君住む街へ
2. she's so wonderful
3. I can't stand this
4. 陽射しの中で
5. 夏の別れ
6. Still a long way to go –また会う日まで–
7. 多分 その哀しみは
8. 逢いたい
9. 悲しい愛を終わらせて
10. 僕らしい夏
11. 昨日見た夢

クレジット

KAZUMASA ODA     KEYBOARDS AND VOCALS
HITOSHI SHIMIZU     BASS AND VOCALS
KAZUHIKO MATSUO     GUITAR AND VOCALS
JIRO OMA     DRUMS AND PERCUSSION

解説

CDはアナログ盤、カセットと同時発売。ディスク表面はモノクロ印刷で、アルバムタイトルロゴとバンド名はゴールド印刷。本作はピュアゴールドCD仕様で再リリースされました。

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