Su-30MKI (航空機)

Su-30MKI：インド空軍の主力多用途戦闘機

Su-30MKI（ロシア語: Су-30МКИ）は、ロシアのスホーイ社が開発したSu-30戦闘機をベースに、インド空軍の要求に合わせて開発された多用途戦闘機です。ヒンドスタン航空機（HAL）によってライセンス生産されており、インド空軍の戦力の中核を担っています。NATOコードネームはフランカーH（Flanker H）と呼ばれています。

導入の経緯

インドは1996年11月、スホーイ社と40機のSu-30購入契約を締結し、1997年3月から納入が開始されました。初期の8機はSu-30PUと呼ばれ、推力偏向機構を持たないエンジンを搭載していました。その後、2000年10月には、140機のSu-30MKIをインドでライセンス生産する契約が締結され、技術移転が行われました。インド空軍は最終的に272機を発注し、ヒンドスタン航空機で段階的にライセンス生産が進められました。

Su-30MKIのインド空軍への引き渡しは2002年から始まり、2021年に222機の納入が完了しました。2020年には事故による喪失分の補填として12機が追加発注されましたが、その後のロシアのウクライナ侵攻の影響でキャンセルされています。

日印共同訓練への参加

2023年1月には、日印共同訓練のため、インド空軍のSu-30MKIが4機とC-17輸送機2機が航空自衛隊百里基地に派遣されました。訓練には空中給油機も参加し、百里基地周辺や入間基地で共同訓練が行われ、両国の連携強化に貢献しました。

機体

Su-30MKIは、カナード翼を装備した三翼機であることが外観上の大きな特徴です。これにより、高い機動性を実現しています。

アビオニクス

機首には高性能なパルス・ドップラー・レーダーを搭載し、長距離の目標探知と追跡が可能です。また、電子光学目標指示装置も装備しており、高い索敵能力を有しています。

エンジン

推力偏向ノズルを備えたAL-31FPターボファンエンジンを2基搭載しています。このエンジンにより、優れた運動性能を発揮し、空中戦での優位性を確保しています。

能力向上改修

Su-30MKIは、導入後も継続的に能力向上改修が行われています。レーダー、電子戦装置、ミッション・コンピュータの換装や、ブラモス超音速巡航ミサイルの運用能力付与などが実施されています。また、国産のアストラやイスラエル製のダービー空対空ミサイルの運用能力付与も計画されています。

実戦投入

2019年2月には、インド空軍がパキスタン領内のイスラム過激派組織の拠点を空爆する際、Su-30MKIがミラージュ2000戦闘機を護衛し、作戦を支援しました。

部隊配備

Su-30MKIは、インド空軍の複数の基地に配備されています。

バレーリー空軍基地
チャブア空軍基地
ハルワラ空軍基地
ジョードプル空軍基地
ローガオン空軍基地
シルサ空軍基地
サロニバリ空軍基地
マハラジプール空軍基地
タンジャーブル空軍基地

喪失事故

インド空軍は、Su-30MKIの導入後、これまでに11機を事故により喪失しています。

スペック

乗員：2名
全長：21.93 m
全高：6.35 m
翼幅：14.69 m
最大離陸重量：34,000 kg
エンジン：AL-31FPターボファンエンジン × 2
最大速度：マッハ2.0
航続距離：3,000 km
実用上昇限度：17,500 m

武装

GSh-30-1 30mm機関砲 × 1
12か所のハードポイントに各種ミサイル、爆弾などを搭載可能

Su-30MKIは、インド空軍の主力戦闘機として、今後も長期間にわたり運用されることが期待されています。

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