Sum 41

Sum 41（サム・フォーティーワン）

カナダ、オンタリオ州エイジャックスで1996年に誕生したロックバンド、Sum 41。そのユニークなバンド名は、メンバーが夏休みの41日目に訪れたワープド・ツアーで受けた刺激に由来し、この日を境に活動を開始したことにちなんでいます。アメリカやカナダ出身のパンクバンドとして世界的に認知され、特に日本を含む各国の音楽シーンで高い人気を誇ってきました。

音楽性の変化とメンバーの変遷

結成当初からパンクサウンドを基盤としつつも、メタルやハードコアの要素を取り入れたミクスチャー的な音楽性も特徴の一つでした。しかし、2006年にリードギターのデイヴ・バクシュが脱退したことで、それまで楽曲に強く表れていたメタル要素はやや後退し、その後の4作目のアルバムでは新たな方向性を模索します。2009年にはギタリストとしてトム・タッカーが加入し、バンドのサウンドは再び進化を遂げました。デイヴは2015年にバンドへの復帰を果たし、往年の強固なツインギター体制が復活しました。

主要なメンバーとしては、バンドのソングライティングを担うフロントマン、デリック・ウィブリー（リードヴォーカル、リズムギター）、落ち着いた存在感でベースを支えるジェイソン・マクキャスリン（ベースギター）、そして復帰したデイヴ・バクシュ（リードギター）、後任ギタリストとして加入しGobのフロントマンでもあるトム・タッカー（リードギター）、そしてドラムを担うフランク・ズーモが現在のラインナップを形成しています。過去には、長年ドラマーを務め、バンドのユーモアセンスを体現していたスティーヴ・ジョクスが2013年に脱退しています。

日本での人気とエピソード

Sum 41は日本でも特に愛されており、2000年代初頭には立て続けに来日公演を行い、サマーソニックにも複数回出演しています。日本との結びつきは深く、例えば2003年から数年間、ラジオ番組「オールナイトニッポン」のジングルに彼らが作曲した楽曲が使用されていました。また、2010年の来日時には、ヴォーカルのデリックが大阪で不慮の暴行事件に遭い負傷するという出来事がありましたが、彼は治療を受け、無事にステージに立ち、日本のファンにそのプロ根性を示しました。

代表的な楽曲とメディアでの使用

Sum 41は数多くの人気楽曲を生み出しており、特に初期の「Fat Lip」や「In Too Deep」などはパンクアンセムとして世界中で知られています。また、彼らの楽曲は様々な映画の挿入歌として採用され、話題となりました。例えば、『ゴジラ FINAL WARS』には「We're All To Blame」、『スパイダーマン』には「What We're All About」が使用されています。特に『ファンタスティック・フォー ［超能力ユニット］』に使用された「Noots」は、世界各国でゴールドやプラチナディスクを獲得するなど高い評価を受けました。2012年には、アルバム『Screaming Bloody Murder』収録の「Blood In My Eyes」が第54回グラミー賞の「最優秀ハードロック・パフォーマンス賞」にノミネートされるなど、その音楽性は高いレベルで認められています。

その他の興味深い話

3rdアルバム『Chuck』のタイトルは、コンゴ訪問中に内戦に巻き込まれたバンドを救出した国連職員チャック氏に敬意を表して名付けられました。また、同アルバムのリードシングル「We're All To Blame」はこのコンゴでの経験からインスパイアされた楽曲と言われています。ヴォーカルのデリック・ウィブリーのモデルギターがスクワイア社からシグネイチャーモデルとして発売されるなど、楽器の世界でも影響力を持っています。

ディスコグラフィーの一部

アルバム
All Killer No Filler (2001)
Does This Look Infected? (2002)
Chuck (2004)
Underclass Hero (2007)
Screaming Bloody Murder (2011)
13 Voices (2016)
Order In Decline (2019)
Heaven :x: Hell (2024)
EP
Half Hour of Power (2000)
代表的なシングル
Fat Lip (2001)
In Too Deep (2001)
The Hell Song (2003)
We're All To Blame (2004)
Pieces (2005)
Walking Disaster (2007)
* Blood In My Eyes (2012)

解散、そして未来へ

長年にわたり世界のロックシーンで活躍してきたSum 41ですが、2023年5月9日、バンドはその活動の終結を発表しました。これに伴い、ラストアルバムのリリースと最後のワールドツアーを行うことを表明。惜しまれつつも、彼らが残した数々の名曲とエネルギッシュなパフォーマンスは、これからも多くのファンに記憶され続けるでしょう。Sum 41は、パンク、ロック、メタルを融合させた独自のスタイルで、音楽史に確かな足跡を刻みました。

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