スクワイア

Squier（スクワイア／スクワイヤー）ギター：フェンダーの廉価ブランドの歴史と魅力

Squierは、世界的に有名な楽器メーカーであるフェンダー社が展開するブランドの一つです。フェンダーブランドに比べて手頃な価格で、エレクトリックギターやエレクトリックベースを幅広く提供しています。ブランド名の表記には「スクワイア」と「スクワイヤー」の2種類が存在します。

Squierの歴史

Squierブランドの起源は、フェンダー社が1965年に買収した弦メーカー「V.C. Squier Company」に遡ります。1970年代後半、フェンダー社は、高品質で安価な日本製コピーモデルとの競争激化に直面しました。この状況を打開するため、1982年に日本の神田商会や富士弦楽器製造（現フジゲン）と提携し、「フェンダージャパン」と「Squier」の2つのブランドを立ち上げました。

当初、Squierは日本国内専売ブランドでしたが、その後、ヨーロッパ市場向けの廉価ブランドとして展開されるようになり、最終的には世界中に供給されるようになりました。製造国も日本以外にもアメリカ、韓国、インドネシア、中国、メキシコ、インドへと拡大しています。

初期のヨーロッパ向けSquier製品は、日本国内で「フェンダージャパン」ブランドとして販売されていたものと同一であり、「JV」（Japan Vintage）シリアルナンバーが刻印されたモデル、いわゆる「ジャパンヴィンテージ」に相当します。1984年までの供給期間中、これらのギターは高い評価を獲得しました。ラインナップには、1957年製と1962年製ストラトキャスター、1952年製テレキャスター、1962年製プレシジョンベース、1962年製ジャズベースといった、往年のフェンダーモデルを忠実に再現したコピーモデルが含まれていました。その後、ブランドロゴは現在の「Squier by Fender」に変更されました。

1983年には、アメリカ市場への供給も開始されました。これは、日本製コピーモデルとの競争に苦戦していたフェンダー社にとって、価格競争力を持つ製品ラインを確保するための戦略でした。この時、1970年代モデルの製品がラインナップに加わり、「バレット」のような斬新な廉価モデルも登場しました。

1985年以降は、往年のモデルのコピーだけでなく、現代的なスペックを備えたモデルも販売されています。2002年には7弦ギター、2006年にはハローキティとコラボレーションしたユニークなストラトキャスターも発売されました。

Squierの代表モデル

Squierブランドからは数多くのモデルが発売されていますが、特に有名なモデルとして、スクワイア・スーパーソニック（1990年代後半に発売されたSquier Vistaシリーズの一製品）や、スクワイア・ジャグマスターなどがあります。これらのモデルは、東海楽器など日本の楽器メーカーが生産を担当していました。

Squierを使用する著名なミュージシャン

多くのプロミュージシャンがSquierギターを使用しています。その中には、マリリオンのスティーヴ・ロザリー、元イット・バイツのフランシス・ダナリー、ジェフ・ヒーリー、ジャミロクワイのロブ・ハリスなどが含まれます。彼らは、Squierギターをメインギターとして使用したり、特定の楽曲で使用するなど、積極的にSquierギターを自身の音楽活動に活用しています。これらのミュージシャンは、改造を加えて個性を演出したり、オリジナルのフェンダーモデルに匹敵するサウンドを生み出したりしています。

まとめ

Squierは、フェンダー社が誇る歴史と技術を継承しながら、幅広いプレイヤーに高品質な楽器を提供するブランドです。手頃な価格でありながら、高い演奏性と信頼性を兼ね備えたSquierギターは、多くのミュージシャンから支持され、音楽シーンに大きな貢献をしています。初心者からプロミュージシャンまで、多くのプレイヤーにとって魅力的な選択肢となっています。

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