Synchronous Digital Hierarchy

SONET/SDH（同期型光ネットワーク/同期デジタルハイアラーキ）

SONET/SDHとは、光ファイバー通信で使用される、同期方式を採用した通信プロトコルです。これは、以下の2つの規格の総称として用いられます。

SONET (Synchronous Optical Network)：Bellcore社が提案し、ANSIによって標準化された規格で、主に北米で普及しました。
SDH (Synchronous Digital Hierarchy)：1990年にITU-Tが制定した規格で、上記のSONETを基に策定され、主にヨーロッパで普及しました。

これらの規格の前身には、PDH（Plesiochronous Digital Hierarchy、準同期デジタル階層網）があります。PDH時代には、地域によって異なる通信方式（例えば、日本では一次群・二次群、アメリカではT1・T2、ヨーロッパではE1・E2など）が用いられていました。SONETは、これらの地域ごとのPDH仕様を世界的に統一することを目的として規定されました。

しかし、標準化規格は2015年を最後に更新されておらず、現在ではOTNや広域イーサネットなどの新しい通信技術に移行が進んでいます。

種類と用語

SONET/SDHには、伝送速度に基づいた以下のような系列があります。

OC (Optical Carrier)：光信号の仕様と回線速度を指します。
STS (Synchronous Transport Signal)：SONETのフレーム書式を指します。
STM (Synchronous Transport Module)：SDHのフレーム書式と光信号の仕様を指します。

SONETとSDHでは、同じ仕様や機能を指す際に異なる用語が用いられることがありますが、SDHは基本的にSONETを包含していると考えることができます。ANSI側のSONET規格文書は、ATIS (Alliance For Telecommunications Industry Solutions) がITU側のSDHと整合を図っています。

フレーム構造と特徴

SONET/SDHでは、固定長のフレームが125マイクロ秒ごとに送信されます。フレームは以下の2つの要素で構成されています。

TO (Transport Overhead、伝送オーバヘッド)：制御用データを格納します。
VC (Virtual Container、仮想コンテナ)：ユーザデータを格納します。

フレームは、コンテナの途中にオーバヘッドを挿入する形で構成されており、TO、VC、TO、VC...という順序でフレームが送信されます。

例えば、

STS-1またはSTM-0では、810バイトの固定長フレームが送信されます。このフレームは、3バイトのオーバヘッドと87バイトのコンテナが交互に9回繰り返されることで構成されています。
STS-3cまたはSTM-1では、2430バイトの固定長フレームが送信されます。このフレームは、9バイトのオーバヘッドと261バイトのコンテナが交互に9回繰り返されることで構成されています。

これらのフレームは、一般的にN列9行の配列として表現され、オーバヘッド（TO）とコンテナ（VC）が整列するように表現されます。例えば、90×9バイトや270×9バイトなどとして表現されます。

また、ユーザデータの量を増やすために多重化が行われます。例えば、STM-256は、STM-1フレームを256波長の波長分割多重で送受信することにより実現されます。

フレームには、ユーザデータ以外に以下の管理データが付加されています。

セクションオーバーヘッド（Section Overhead, SOH, SO）：ネットワーク管理に使用されます。
管理ポインタ（Administrative Unit Pointer, AUPtr）：周波数や位相の同期に使用されます。
パスオーバーヘッド（Path Overhead, POH, PO）：コンテナ内に配置され、各パスの識別に使用されます。


このフレーム構造を用いることで、多重化において以下の機能が実現されます。

制御用データがユーザデータに挟み込まれる形になるため、ユーザデータとは独立したネットワーク管理情報を持ち、信頼性の高い通信を可能にします。
AUポインタを使用して周波数と位相の同期を行うため、機器間のずれを補正することが容易になり、高速な通信に対応できます。
AUポインタやPOHを使用することで、低速チャネルから高速な階層への多重化、および高速な階層から直接チャネルごとの情報を取り出すこと（仮想コンカチネーション）が可能になります。

関連項目

Plesiochronous Digital Hierarchy (PDH)

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