T's 12 INCHES

『T's 12 INCHES』：角松敏生の魅力が凝縮されたクラブミックス集

1986年12月15日、角松敏生は3枚目のコンピレーションアルバム『T's 12 INCHES』をリリースしました。本作は、それまでに発表された12インチシングルを収録した、いわば角松サウンドの精髄を凝縮した作品と言えるでしょう。2枚組のLPレコードとして発売され、多くのファンを魅了しました。

特に注目すべきは、「TOKYO TOWER」と「DO YOU WANNA DANCE」の2曲です。これらの楽曲は、本作のために新たにリミックスが施されており、オリジナルとは異なる魅力的なアレンジが楽しめます。既存の楽曲を再構築することで、新たな魅力を引き出す角松敏生のセンスが光る、聴き応えのある仕上がりとなっています。

アルバム全体を通して、角松敏生が得意とする洗練されたサウンドと、グルーヴ感溢れるクラブミックスが堪能できます。各楽曲は、長尺で展開される構成になっており、聴く者をダンスフロアへと誘うような、躍動感あふれる音楽体験を提供してくれます。

さらに、『T's 12 INCHES』には、音楽ライターの前田祥丈氏による詳細な解説が歌詞カードに掲載されています。前田氏の鋭い視点による解説は、楽曲の背景や制作秘話、そして角松敏生の音楽性について深く理解する上で、貴重な情報源となっています。単なる楽曲集ではなく、音楽史における一作品としての価値をさらに高めています。

参加ミュージシャンにも注目です。角松敏生自身による作詞・作曲・編曲はもちろんのこと、吉田美奈子氏によるコーラスアレンジ、数原すすむ氏や佐藤準氏によるブラスアレンジ、大谷和夫氏によるストリングスアレンジなど、豪華なメンバーが参加しています。それぞれのアーティストが持ち味を活かしたアレンジは、楽曲の奥行きをさらに豊かにしています。

スタッフクレジットには、プロデューサーとして角松敏生自身の名前、そしてエグゼクティブプロデューサーとして岡村肇氏、編集者としてCAMU SPIRITS、Michael H. Brauer、LATIN RASCALSといった名前が並んでいます。そして、アートワークは矢野雅之氏（VITAMIN STUDIO）が担当。制作には多くの才能が結集し、完成度の高い作品へと昇華されています。

『T's 12 INCHES』は、角松敏生自身のディスコグラフィーの中でも重要な位置を占める作品です。彼の音楽性を多角的に理解する上で、欠かせない一枚と言えるでしょう。クラブミュージックファンはもちろん、角松敏生の音楽に興味を持った方にも、ぜひ聴いていただきたい作品です。

収録楽曲一覧

初恋 HATSU KOI HATSU KOI
LUCKY LADY FEEL SO GOOD
STEP INTO THE LIGHT
SNOW LADY FANTASY
GIRL IN THE BOX〜22時までの君は…
TOKYO TOWER -EXECUTIVE SPECIAL POWER MIX-
TAKE OFF MELODY
DO YOU WANNA DANCE
* PILE DRIVER

これらの楽曲は、角松敏生独自のサウンドと、時代を超えた魅力を兼ね備えています。改めて聴き返してみると、その完成度の高さに驚かされることでしょう。1980年代後半の音楽シーンを代表する作品として、『T's 12 INCHES』は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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