Tシャツに口紅

シングル「Tシャツに口紅」

1983年9月1日にリリースされた『Tシャツに口紅』は、ラッツ&スターの2枚目のシングルであり、シャネルズ時代を通算すると11枚目のシングルです。 この楽曲は、リーダーの鈴木雅之が「早すぎた名曲」と評価するなど、楽曲の質の高さが伺える作品ですが、そのセールスは期待を下回ったものでした。

この楽曲の制作には、大瀧詠一が深く関わっています。実際、大瀧はラッツ&スターのために「スパイスソング」という楽曲を考えていたのですが、最終的には『Tシャツに口紅』として世に出される形となりました。シャネルズ（後のラッツ&スター）と大瀧の交流はデビュー前から続いており、信頼感と創造力をもって制作に臨んだことが窺えます。 そして、この作品はアルバム『SOUL VACATION』にも収録されています。

収録曲の詳細

『Tシャツに口紅』は、作詞を松本隆、作曲を大瀧詠一が手掛けており、編曲は井上鑑が行っています。シングルのマスタリングには、当時大瀧のアルバム『NIAGARA MOON』でアシスタントエンジニアをしていた助川健が関わっています。

もう一つの収録曲『星空のサーカス』は、宿霧十軒によって編曲され、同じくアルバム『SOUL VACATION』に収録されています。シングルバージョンとアルバムバージョンでは細かい違いがあり、シングルのエンディングではクシャミが入っていますが、アルバムでは口笛が使われています。また、未発表のエンディングバージョンでは大瀧が「ウッフン」と声を入れていました。この表現は、田代まさしがやっていたスタイルを模倣したとのことです。

カバーと影響

『Tシャツに口紅』は、後に異なるアーティストによってカバーされています。2000年の鈴木雅之のベストアルバム『MEDIUMSLOW』や、2002年のクレイジーケンバンドのトリビュートアルバム、さらにハナレグミや大滝詠一自身によるセルフカバーアルバム『DEBUT AGAIN』（2016年）にも収録されています。また、2022年には鈴木雅之が別のカバーを発表するなど、まさに世代を超えた名曲となっています。

同様に、『星空のサーカス』もゴスペラッツによって2006年にカバーされ、また大滝自身もセルフカバーしています。

このように『Tシャツに口紅』と『星空のサーカス』は、それぞれの時代の中で様々な解釈をされ、今もなお多くの人々に愛されています。音楽の枠を超えた感動を与える作品であり、今後もその影響は続いていくことでしょう。

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