Tバールーフ

Tバールーフ (T-BarRoof) の概要

Tバールーフは、オープンカーの一形態で、特に屋根の中央部分を残し、左右の部分だけが取り外せる構造を持っているのが特徴です。このデザインにより、運転手は開放感を享受できつつ、車両の剛性と安全性も確保されています。

歴史

1970年代におけるアメリカの厳しい安全基準の影響で、フルオープンのコンバーチブルは製造側にとってコストがかかりすぎるという問題が浮上しました。この時期、消費者はカーオーディオやカーエアコンといった設備が屋根なしの車では機能しないことから、オープンカーを避ける傾向が強まりました。そこで、ゼネラルモーターズが導入したのがTバールーフです。この形態は、シボレー・カマロやポンティアック・トランザムなどのモデルに適用されました。

Tバールーフは1970年代から1980年代に多くのスポーツカーで展開されました。しかし、1989年に登場したユーノス・ロードスターが世界的に成功したことで、各メーカーは再びオープンカーの開発に乗り出し、1990年代以降は屋根が折りたためるクーペカブリオレが現れ、このことがTバールーフの需要をさらに減少させました。現在では新車市場においてTバールーフを採用した車両は見られません。

構造

Tバールーフは「2シーター」や「2+2」の4シーターのスポーツカーに多く採用されてきました。基本的な構造は、中央の屋根部分が細く残り、左右が開くタイプです。この取り外し可能なパネルは、ガラス製のものも存在します。

このデザインにより、ボディが完全に開放されているわけではないため、フルオープンカーよりも高いボディ剛性を保つことが可能です。モノコック構造の一部が中央に残されることで、フロントガラスを支えるAピラーも細く設計され、視認性が向上しています。運転中も開放感を感じられつつ、一定の剛性が保たれるため、ドライビングにも優れた安定性をもたらします。

さらに、Tバールーフは通常のルーフタイプの車両の設計を組み入れることができるため、コストを抑えて製造することが可能です。しかし、オープンカー特有の問題として、Tバー部分のガラス周辺には防水用のウェザーストリッピングが設けられていますが、これが劣化すると雨漏りの原因となります。また、車両の年数が経つにつれてボディ剛性が低下しがちです。

とはいえ、走行時に大きな衝撃や事故がない限り、モノコックシャシ自体に大きな問題は生じないため、消耗品の交換さえ行えばTバールーフの車両は長期間使用することができます。

法律における取り扱い

自動車検査証に記載される「車体の形状」に関して、Tバールーフはフルオープン車の「幌型」ではなく、セダンやクーペと同じく「箱型」として取り扱われます。

日本での採用車種

• - [トヨタ・MR2]]（AW系・SW系）
• - 日産・フェアレディZ（S130～Z32系）
• - 日産・エクサ(EXA)（N13型）
• - 日産・NX[[クーペ]（B13型）
• - スズキ・X-90

このように、Tバールーフはその独特のデザインと実用性から、オープンカーの一形態として一時代を築いてきました。技術の進展や市場のニーズの変化に伴い、Tバールーフの姿勢がどのように変化してきたかは、今後も興味深いテーマとなるでしょう。

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