T・J・フォード

T・J・フォード（Terrance Jerod Ford）は、1983年3月24日、テキサス州ヒューストン出身の元プロバスケットボール選手です。NBAのミルウォーキー・バックス、トロント・ラプターズ、インディアナ・ペイサーズ、サンアントニオ・スパーズに所属し、ポイントガードとして活躍しました。身長183cm、体重75kgと小柄ながら、そのスピードと運動能力で多くのファンを魅了しました。

輝かしいキャリアの幕開けと突然の悲劇

テキサス大学在学中にアーリーエントリーを宣言し、2003年のNBAドラフトでミルウォーキー・バックスから1巡目8位指名を受け、NBA入りを果たしました。ルーキーイヤーからスターターの座を掴み、55試合に出場、7.1得点6.5アシストと好成績を残しました。しかし、そのシーズン中に悲劇が襲います。試合中、相手選手のファウルを受け、背中からフロアに落下し、脊椎を損傷する大怪我を負ってしまいます。チームはプレーオフに進出するも、フォードを欠いたバックスはファーストラウンドで敗退しました。

苦難を乗り越えて

翌04-05シーズンは、怪我の影響で全休。チームもプレーオフ進出を逃しました。しかし、フォードは諦めませんでした。05-06シーズン、彼はNBAのコートに帰ってきます。開幕戦でチームの勝利に貢献し、その後もチームは好調を維持。マイケル・レッド、アンドリュー・ボーガット、ボビー・シモンズらの活躍もあり、バックスはプレーオフに進出しました。フォード自身も1年目から大きく数字を伸ばし、完全復活をアピールしました。

移籍と新たな挑戦、そして引退

オフには、チャーリー・ビラヌエバとのトレードでトロント・ラプターズへ移籍。クリス・ボッシュらと共にチームを牽引し、チーム史上初の地区優勝に貢献しました。その後、2008年夏にインディアナ・ペイサーズへ移籍。2011年にはサンアントニオ・スパーズとの契約を発表しました。

しかし、2012年3月7日のニューヨーク・ニックス戦で、バロン・デイビスの肘が背中に当たり、過去に手術歴のある脊椎を再び強打してしまいます。一時的に体が麻痺し、コートに倒れ込んだフォードは、5日後、チーム練習前に引退を発表しました。度重なる怪我、そして脊椎への負担が引退の理由でした。フォードは、「他の選手だったら大したことはないだろう。だが自分にとって、背中に肘が当たるということは違う結果をもたらすことになる。できれば34-36歳くらいで引退したかっただけに、こんなに早く引退しなくてはいけないのは残念だ。今シーズン、引退することになるとは思ってもいなかった」とコメントしました。

引退後は、サンアントニオ・スパーズ傘下のDリーグ、オースティン・トロスでコーチングスタッフを務めました。

プレースタイル

フォードは、小柄ながらも高い運動能力とテクニックを駆使して得点する攻撃型のポイントガードでした。リーグ屈指のスピードを生かしたアップテンポなゲームメイクを得意とし、ミドルレンジからのジャンパーを主な得点源としていました。しかし、小柄な体格とプレースタイルが災いし、接触プレーによる故障が多く、満足にシーズンを戦えないことが悩みでした。引退を決意させたプレイも、背中の強打でした。

T・J・フォードは、その短いキャリアの中で、多くの困難を乗り越え、常に全力でプレーする姿で、多くの人々に感動を与えました。

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