T・R・Y〜夢への階段〜

『T・R・Y〜夢への階段〜』

『T・R・Y〜夢への階段〜』（トライ ゆめへのかいだん）は、2005年に放送された日本のテレビドラマシリーズである。この作品は、KBS京都テレビ、テレビ神奈川、テレビ埼玉という独立UHF局3局が共同で企画・制作を行った意欲作として知られる。特に注目すべき点は、UHF局制作のドラマとしては初めてハイビジョン放送に対応して制作されたことである。放送期間は2005年1月6日から同年3月24日までで、全12話が制作・放送された。

本作の制作にあたっては、ハリウッド映画『ジュラシック・パーク』などの大作でも採用された高性能なハイビジョンカメラ、具体的にはHDW−F900が使用された。こうした最新鋭の撮影機材を導入してドラマが制作されたことは、当時のメディアでも大きな関心を集めた。特にフジサンケイ ビジネスアイ紙に取り上げられた際には、経済ニュースとしても報じられるなど、その技術的な挑戦や制作体制が話題となった。脚本と監督は林正明が手掛けた。

あらすじ

物語は、静岡県から単身で上京してきた一人の若い女性、真琴（長澤奈央）の視点を通して描かれる。高校卒業を機に女優となることを夢見て東京にやってきた真琴は、以前、修学旅行で東京を訪れた際にスカウトされた芸能事務所のスカウトマンから受け取った名刺を唯一の手掛かりとしていた。期待に胸を膨らませ、名刺に記された住所を訪ねて意気揚々と事務所のドアを開ける真琴であったが、そこで待ち受けていたのは、既にその事務所が倒産しているという現実であった。突然の事態に直面し、途方に暮れる真琴。そんな彼女に手を差し伸べたのは、東京で暮らす姉の祐希（清水園美）だった。祐希は、失意の妹を励まし、まずは現状で可能なことから始めようと諭す。

祐希が真琴を連れて向かった先は、彼女の行きつけであるダイニングバーだった。そこでアルバイトをしていた直行（藤井樹）は、ある名門の俳優養成所「シオン」と繋がりを持っていた。祐希は直行に対し、女優を目指す真琴を「シオン」へ推薦してほしいと強く願い出る。当初、直行は依頼に対して難色を示し、乗り気ではなかった。しかし、妹の夢を何とか叶えたいと願う祐希の並々ならぬ熱意と真摯な態度に心を動かされ、最終的には真琴を養成所へ途中から編入させるための推薦を約束する。

念願叶って名門養成所「シオン」への入学を果たした真琴。しかし、そこは女優への道を志す多くのライバルたちが集まる厳しい世界だった。特に、特待生である清香という強力なライバルの存在は、真琴にとって大きな刺激となる。養成所での日々の中で、真琴は技術的な壁や人間関係、そして自身の内面的な弱さなど、様々な困難や試練に直面することとなる。特待生・清香との切磋琢磨や、周囲の人々の支えを受けながら、真琴は一つずつ壁を乗り越えていく。困難に立ち向かい、努力を続ける過程で、真琴は次第に女優としての才能を開花させていくのだった。これは、一人の少女が夢を追いかけ、挫折を乗り越え、成長していく姿を描いた青春サクセスストーリーである。

主な出演者

• - 長澤奈央（真琴 役）
• - 藤井樹（直行 役）
• - 清水園美（祐希 役）
• - 津田寛治
• - 松嶋初音
• - ほか

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