T-35 (航空機)

テムコ T-35 バッカルーについて

テムコ T-35 バッカルー（社内名称：TE-1）は、1940年代後半にアメリカで設計された低コストの練習機です。この機体は民間用や輸出市場を想定しており、主にアメリカ空軍向けに開発されましたが、受注の失敗から他国の政府へとターゲットを変更しました。完成までには多くの試行錯誤があったものの、T-35は最終的に数カ国で運用されることになりました。

設計と開発

この機体は1948年初めに、テムコ・エアクラフト社のロバート・マカロック社長の下、フィリピン政府からの要請に応じて開発が進められました。最初の試作機であるTE-1Aは、タンデム配置の座席による設計変更が行われ、形状が独特なキャノピーが採用されました。初期の飛行試験において、125馬力のエンジンから145馬力のエンジンへと換装が実施されました。

1949年には、アメリカ空軍が新しい初等練習機の競争試作を発表し、テムコ社はこの機会にさらに2機の試作機を作成しましたが、評価試験の結果としてビーチクラフトの機体に敗れました。しかし、アメリカ空軍の否定的な評価にもかかわらず、他国（特にフィリピン政府）からは高い関心が寄せられ、改良案を進める決定が下されました。

改良点と量産

再設計では、胴体の全長を延ばし、座席配置の最適化が行われました。主翼の構造も改良され、電子機器は新たな仕様へと変更されました。これらの再設計を経て、量産が決定され、10機が製造されることになりました。

運用の歴史

1949年末、TE-1AはYT-35と改称され、1950年に復活した空軍競争試作に再び参加しました。数回の評価試験を経て、エンジンをフランクリン社製のより強力なものに換装し、TE-1Bと命名されました。この機体は主に米空軍向けに設計され、その中で様々な改良が施されました。その後、TE-1Aはイスラエルやギリシャなどに販売されました。

さらに、1950年代初頭には中東での需要も高まり、サウジアラビアの空軍にもT-35Aとして売却されました。これらの機体には、武装として30口径の機関銃とロケット弾が搭載されていました。

現在の状況と派生型

現在、テムコ T-35 バッカルーはいくつかの型式が存在し、アメリカや他国での運用実績を有しています。特に、サウジアラビアに販売された機体はその運用から多くの注目を集めました。現存する機体もいくつかあり、特にアメリカ国内では登録機体も確認されています。

要目

• - 乗員：2名
• - 全長：6.61 m
• - 全幅：8.94 m
• - エンジン：フランクリン 6A4-165-B3、165 hp
• - 最大速度：250 km/h

このように、テムコ T-35 バッカルーは設計において多くの挑戦を経ながらも、多国籍での運用を果たした魅力ある練習機となっています。

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