T-ZONE

T・ZONE：時代を彩ったパソコンショップの興亡

T・ZONE（ティー・ゾーン）は、かつて日本、台湾、韓国で展開していたパソコンショップの屋号です。1980年代後半から2000年代初頭にかけて、パソコン黎明期を支え、多くの人々に親しまれましたが、2010年に全ての店舗を閉鎖し、その歴史に幕を閉じました。

黎明期のパソコン市場を牽引

T・ZONEの始まりは、1975年創業の電子部品商社、亜土電子工業と、1956年創業のトヨムラ電気商会の事業提携に遡ります。1987年、トヨムラが新築したビルに亜土電子工業がテナントとして入居し、「T-ZONE」の商号を使用開始。当時、海外製パソコンやPC/AT互換機|PC_AT互換機を扱う先駆けとして、パソコン市場の成長とともに拡大していきました。

バブル景気にも後押しされ、T・ZONEは家電量販店ザ・ミナミ（現ドン・キホーテ秋葉原店）を旗艦店に、国内外へ店舗を拡大。最盛期には売上高約1000億円、20店舗、社員約500人を抱えるまでに成長しました。また、ジャスコ（現イオン）と共同で「J-ZONE」を展開するなど、新たな試みも積極的に行いました。

競争激化と経営の迷走

しかし、事業拡大のスピードが速すぎたこと、バブル崩壊後の金利負担増、そして主力商品の一般化による独自性の喪失などが重なり、経営は徐々に悪化。安売り競争に巻き込まれる中で、1995年にはCSK（現SCSK）の資本参加を受け入れ、子会社となりました。その後、親会社の経営方針転換や投資ファンドによる買収などを経て、ティー・ゾーンは投資用持株会社としての性格を強めていきます。

2002年以降、不採算店舗の撤退を開始。秋葉原本店のリニューアルや移転縮小を繰り返しましたが、業績は回復せず、2003年には会社分割を実施。パソコンパーツ関連部門は新設子会社T・ZONE DIYに移管されました。その後も合併や社名変更を経て、2003年以降は秋葉原の「T-ZONE DIYショップ」1店舗のみで事業を継続することとなりました。

終焉、そして新たな始まり

1店舗体制では大量仕入れのメリットを享受できず、2010年3月期には赤字に転落。親会社の経営悪化も重なり、2010年1[[1月29日]]、T・ZONEストラテジィは事業の全部廃止を決定。同日をもってT-ZONE DIYショップは閉店し、T・ZONEの歴史は幕を閉じました。

しかし、T・ZONEの灯は完全に消えたわけではありません。事業譲渡は行われなかったものの、パソコン関連製品販売事業に関する資産はドスパラを運営するサードウェーブに売却され、T・ZONE店舗跡地にはドスパラの新店舗がオープンしました。また、T・ZONEの一部スタッフはグッドウィルの子会社が運営するPCパーツショップ「PC DIY SHOP FreeT」に参加するなど、T・ZONEで培われた経験や知識は、新たな形で受け継がれていったのです。

秋葉原の記憶

T・ZONEは、秋葉原の電気街を代表するパソコンショップの一つとして、多くの人々の記憶に残っています。店舗跡地には現在、ドスパラやアパホテルが建ち並び、当時の面影はありませんが、T・ZONEが日本のパソコン黎明期に果たした役割は、決して忘れられることはないでしょう。

主な店舗跡地

秋葉原 本店: ドン・キホーテ秋葉原店、AKB48劇場
秋葉原 アウトレット店: ツクモeX.
秋葉原 (旧)アウトレット店: CHABARA AKI-OKA MARCHE
秋葉原 PC DIY SHOP: アパホテル〈秋葉原駅電気街口〉

T・ZONEは、時代の変化とともに姿を消しましたが、その挑戦と革新の精神は、今日のパソコン業界にも息づいていると言えるでしょう。

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