T29重戦車

T29重戦車

T29重戦車は、第二次世界大戦末期にアメリカ合衆国で開発された重戦車です。ドイツ軍のティーガーII重戦車に対抗することを目的として、M26パーシングをベースに大幅な改良が加えられました。

概要

T29重戦車は、約64トンの重量級戦車であり、最大279mmの厚い装甲を備えていました。主砲には強力な105mm砲を搭載し、乗員は6名でした。エンジンはフォードGACエンジンまたはアリソンV1710 V12エンジンを搭載し、最大770馬力を発揮しました。トランスミッションはゼネラルモーターズのCD-850-1 クロスドライブ方式を採用し、前進二段後進一段が可能でした。燃料は1,140リットル搭載可能でした。

開発経緯

1943年3月、アメリカ陸軍はドイツの新型戦車に対抗できる重戦車の開発を決定しました。当時、主力戦車であったM26パーシングは、ティーガーIIに対して火力と装甲で劣ると判断されたためです。T29重戦車は、M26パーシングの車体を延長し、装甲を強化、エンジンを改良した上で、新設計の砲塔に105mm砲を搭載するという設計でした。

各派生型

T29：基本型。高初速105mm砲T5を搭載。
T30：T29の派生型で、155mm砲T7を搭載。エンジンの強化と装填手の増員が図られました。
T34：T29の最終派生型。120mm高射砲を基にした120mm戦車砲T53を搭載。砲弾の初速は最大1250m/sに達し、砲塔後部には追加装甲が施されました。

開発中止とその後

T29重戦車は、1945年に開発が完了しましたが、ヨーロッパ戦線はすでに終結していました。日本本土侵攻作戦のために限定的な調達が計画されましたが、アメリカ陸軍の超重量級兵器の取り扱いに対する懸念や、終戦によって計画は中止されました。しかし、T29重戦車の開発で得られた技術的なノウハウは、後のM103重戦車の開発に活かされました。

現存車両

現在、T29重戦車は以下の場所に現存しています。

デトロイト陸軍兵器廠 (ミシガン州ウォーレン):
レンジファインダーの無い砲塔を持つ車両
フォートベニング (ジョージア州)の第25歩兵連隊駐屯地:
レンジファインダー付きの車両と、兵器ショー出展のため修復中のレンジファインダー無し車両の2両

登場作品

T29重戦車は、以下のゲームに登場します。

War Thunder
World of Tanks
トータル・タンク・シミュレーター

参考文献

ピーター・チェンバレン、クリス・エリス『世界の戦車1915～1945』大日本絵画、1996年。ISBN 4-499-22616-3

関連項目

重戦車

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