T2FD

T2FDアンテナとは

T2FDアンテナは、無線通信で利用されるアンテナの一種で、主に長波から短波の周波数帯域での送信に用いられます。その名称は、「Terminated, Tilted, Folded Dipole」（終端付き傾斜折り返しダイポール）の頭文字から取られています。

構造

T2FDアンテナは、基本的な構造として、折り返しダイポールアンテナのエレメントの中間点、つまり給電点の反対側に終端抵抗（ターミネーター）を設けたものです。この終端抵抗は、通常、給電線のインピーダンスよりも高い抵抗値が用いられます。そのため、給電部にはインピーダンス変換器が組み込まれます。例えば、50Ωの同軸ケーブルで給電する場合、1:9の変換比を持つインピーダンス変換器を通して給電し、終端抵抗を450Ωとします。

動作原理

一般的なダイポールアンテナをはじめとする多くのアンテナは、定常波を励起させることで動作します。そのため、アンテナの長さによって決まる特定の周波数に近い周波数でのみ効率的に動作します。しかし、T2FDアンテナは、定常波が発生しない場合には、進行波の成分を終端抵抗でジュール熱として消費します。この特性により、T2FDアンテナは、エレメントの全長よりも波長が長い任意の周波数で送信を行うことが可能です。

特徴

T2FDアンテナの最大の特徴は、その広帯域性です。特定の周波数に限定されず、幅広い周波数帯域で利用できるため、周波数の変更が頻繁に必要な場面で非常に便利です。しかし、この広帯域性の代償として、熱損失が発生し、効率は比較的低くなります。また、受信も可能ですが、出力は小さくなります。

利点

広帯域性: 広範囲の周波数帯域に対応できるため、周波数の変更に柔軟に対応できます。
設置の容易さ: 特定の周波数に調整する必要がないため、設置が比較的容易です。

欠点

効率の低さ: 熱損失により、他のアンテナに比べて効率が低い傾向があります。
受信感度の低さ: 受信時の出力が小さいため、微弱な信号の受信には不向きです。

用途

T2FDアンテナは、その広帯域性を活かして、アマチュア無線や非常通信など、さまざまな周波数帯域を使用する必要がある場合に利用されます。特に、短波帯での通信において、広範囲の周波数を使用できるという利点が活かされています。

まとめ

T2FDアンテナは、その独特な構造と動作原理により、広帯域な周波数に対応できる一方で、効率が低いという特徴を持つアンテナです。その利点と欠点を理解し、適切な用途で利用することが重要です。

関連項目

ダイポールアンテナ
折り返しダイポールアンテナ

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