TACAM T-60

TACAM T-60: ルーマニアの自走砲

TACAM T-60は、第二次世界大戦中のルーマニアで開発された対戦車自走砲です。そもそもこの自走砲は、ソ連から鹵獲したT-60軽戦車の車体と76.2mm野砲1936年型(F-22)を基にしています。1943年に製造されたこの自走砲は、実戦に投入されることとなりました。

開発の背景

1941年夏に開始されたバルバロッサ作戦によって、ルーマニア軍は自国の兵器であるT-34やKV-1に対抗できない事態に直面しました。このような背景から、ルーマニアはソ連からの鹵獲兵器を有効に活用する方向へと舵を切ることになります。

コンスタンチン・ギウライ中佐が中心となり、T-60軽戦車の豊富なスペアパーツを利用して、76.2mm野砲を装備したオープントップの対戦車自走砲を設計しました。兵器の確保が困難な状況の中、戦闘室の前側面の装甲は、鹵獲したBT-7の車体を再利用して強化されました。また、オープントップであるため車室内は狭く、フェンダーや車体後部に工具箱や弾薬箱が追加され、使い勝手を向上させています。

この自走砲は「TACAM T-60」（Tun Anticar pe Afet Mobil T-60）と名付けられ、ルーマニアにおいてはブカレストのレオニダ製作所で改装作業が行われました。1943年には最初の車両が完成し、最終的には合計で34両が生産されることとなります。

戦歴と運用

完成したTACAM T-60は、主に第1戦車連隊の第61戦車駆逐中隊と第2戦車連隊の第62戦車駆逐中隊に配備されました。これらの部隊は、1944年の初めから夏にかけて、ベッサラビアおよびモルダヴィアで行われた防衛戦において活躍しました。自走砲として装備されていたTACAM T-60は、どのように戦場で用いられたのか、戦闘結果についての詳細は残されていないものの、ルーマニアの降伏に伴い、残存していたTACAM T-60はソ連軍に接収されることとなりました。

参考文献

以下の資料が本自走砲の理解を深めるために利用可能です：

• - Didier Kamowski, "LES CHASSEURS DE CHARS ROUMAINS 1 Le Tacam T-60", STEEL MASTERS No.27, Jun-Jul 1998
• - 高田裕久, 「第2次大戦のソ連[軍用車両]」, 「グランドパワー」デルタ出版, 1997年9月号
• - 稲田美秋, 「第2次大戦のソ連軍陸戦兵器(2)」, 「グランドパワー」デルタ出版, 1999年1月号
• - 'WorldWar2.ro' Romanian Armed Forces in the Second World War

関連項目

• - 自走砲
• - 自走砲一覧

このようにTACAM T-60は、戦争の厳しい条件下で自国の兵器の不足を補うために開発された重要な兵器でした。

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