TAKE OFF(離陸)

アルバム『TAKE OFF』概要

『TAKE OFF(離陸)』は、チューリップの3枚目のアルバムで、1974年4月5日にリリースされました。このアルバムは、彼らの人気を決定づけたヒット曲『心の旅』の成功を受けて制作された最初の作品です。アルバムジャケットには旅客機のコックピットが描かれており、タイトルは『TAKE 離陸 OFF』と印刷されています。彼らはアイドルとしての人気を得る一方で、ビートルズのような音楽を志向し、その思いを込めてこのアルバムを制作しました。

制作背景

1973年秋から、ライブ活動の合間を縫いながら正月返上で制作は進められました。一部の楽曲は、前年発表のシングル『銀の指環』とともに、アメリカ・ロサンゼルスのサンセットスタジオでレコーディングされました。制作は過密スケジュールのなかで行われたため、ボーカリストの姫野達也が風邪を引いた状態での録音もあったとのことです。

また、一部の楽曲は、前年秋の「ライヴ!!アクト・チューリップ」で原型が公開されていました。これらの音源は、1973年発売の『LIVE!! ACT TULIP～渋谷公会堂における実況盤～』には収録されていませんが、2008年に発売された限定版ボックスセット『LIVE ACT TULIP 1973 -1979』に収められています。前2作では歌詞カードに「チューリップタイムス」や「チューリップ新聞」が同封されていましたが、このアルバムからは歌詞カードのみの仕様になりました。なお、今作の歌詞カードの裏面には、ビートルズを意識したメンバーのポスターが使用されています。

アルバムの影響

ミュージシャンのKANは、このアルバムを小学6年生の頃に手に入れ、後に財津和夫と共演した際に『あの、ゆるやかな日々』を演奏しました。このアルバムは、音楽界における重要な作品とされています。彼らの音楽の成長と、ビートルズへの憧れが見事に表現されています。

収録曲の特徴

SIDE 1

1. TAKE OFF - チューリップ初の全英語詞の曲で、アルバムの序章となっています。37秒という短い曲ですが、印象的です。
2. 明日の風 - スローテンポなロックナンバーで、再結成以降のライブでも定番として親しまれています。
3. そんな時 - アコースティックな要素が際立つ、高音ボーカルが特徴的な曲。
4. 見すごしていた愛 - 過去のライブで披露され、歌詞も異なるバージョンが存在。
5. サンセット通り - 高音のボーカルが求められる楽曲で、ロサンゼルスでレコーディングされました。
6. おしえておくれ - 吉田彰がボーカルを務める楽曲。
7. セプテンバー - 『銀の指環』のB面も収録された曲で、アレンジが異なります。

SIDE 2

1. あの、ゆるやかな日々 - 財津がボーカルを務める、印象的なイントロが特徴。
2. ハートせつなく - 安部が初めて作詞・作曲を担当した楽曲。
3. 青春の影 - シングルカットされたが、アルバム版ではアレンジが異なります。
4. 愛は不思議なもの - 前年のライブで披露され、メドレーとして演奏されました。
5. 悲しみはいつも - 財津が作詞・作曲を手掛けた楽曲。
6. ぼくは陽気なのんきもの - 同じく財津による楽曲。
7. 笑顔をみせて - メドレーの一部として、多様な楽器が使用されています。

音楽的意義

このアルバムは、チューリップの音楽的進化を示すと同時に、当時の音楽シーンにも大きな影響を与えました。彼らの独特な音楽スタイル、歌詞の繊細さ、アレンジの工夫は、今もなお多くのファンに愛されています。音楽的な挑戦が続く中で、作られたこのアルバムは、チューリップの重要な足跡となっています。

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