TATSURO FROM NIAGARA

『TATSURO FROM NIAGARA』：ナイアガラ時代の山下達郎を凝縮した決定盤

2009年3月21日に発売された『TATSURO FROM NIAGARA』は、山下達郎の4作目のコンピレーションアルバムです。1980年リリースの『TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA』を、ナイアガラレーベルが公式に承認し、新たにジャケットデザインを施した作品として生まれ変わりました。

大瀧詠一監修による再構成

このアルバムは、2008年発表の『NIAGARA CALENDAR』30周年記念盤で、大瀧詠一氏が記した序文をきっかけに制作されました。これまで非公式扱いだった『TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA』を、中山泰氏による新装ジャケットで公式カタログ化するという試みです。

大瀧詠一氏は、オリジナルの『TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA』を聴いたことがなかったと語っています。しかし、本作では、大瀧氏の意向によって、アルバム収録曲の選曲と曲順が大きく変更され、未発表音源も加えられました。『SONGS』と『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』から山下達郎がボーカルを務めた楽曲を中心に構成され、ナイアガラレーベルにおける山下の音楽遍歴をより深く知ることができる内容となっています。

選曲とマスタリングへのこだわり

大瀧詠一のコメントによると、曲順は『SONGS』をベースに決定されました。特に、アルバムの冒頭を「DOWN TOWN」で始めることに強いこだわりがあったようです。また、音質の統一感を保つために、異なるアルバムに収録されている楽曲を繋げる際の工夫も凝らされています。『SONGS』と『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』の楽曲は、それぞれ2005年と2006年のマスター音源を基に、リマスタリングが施されています。

いくつかの楽曲は、特別な処理がされています。「パレード」は、1995年のリミックスバージョンが使用され、一部パートがカットされています。「すてきなメロディー」には、当時消されたカズーの音色が復活しています。これは大瀧詠一の強い希望によるものです。また、「ドリーミング・デイ」のモノ・バージョンや、「SUGAR」のオリジナルミックスなど、レアな音源も収録されています。「幸せにさよなら」の山下達郎ボーカルバージョンは、本作で初めて公開されました。

楽曲詳細と収録内容

アルバムには、山下達郎が作詞・作曲・編曲を担当した楽曲や、伊藤銀次、大貫妙子、吉田美奈子など、錚々たるアーティストとのコラボレーション作品が収録されています。さらに、アルバム『SONGS』制作時の初期ミックスで却下された「SUGAR」のオリジナルミックスも収録。大瀧詠一氏のコメントから、制作時のエピソードを知ることができ、より深い音楽的理解へと繋がります。各楽曲の演奏時間、作詞作曲編曲者情報等も記載されており、細部まで作り込まれた作品となっています。

まとめ

『TATSURO FROM NIAGARA』は、単なるコンピレーションアルバムにとどまらず、山下達郎とナイアガラレーベルの歴史、そして大瀧詠一氏の音楽への深い愛情が感じられる作品です。ナイアガラサウンドを深く理解したい方、山下達郎の音楽を愛する全ての人にとって、必聴、そして入手しておきたい一枚と言えるでしょう。 様々なバージョンや未発表音源を収録したこのアルバムは、山下達郎の音楽の魅力を改めて感じさせてくれることでしょう。

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