DOWN TOWN

シュガー・ベイブ「DOWN TOWN」：誕生から現在まで

1975年4月25日、そして1982年4月21日。2度に渡るシングルリリース、数々のアルバムへの収録、そして多くのアーティストによるカバーと、時代を超えて愛され続けるシュガー・ベイブの代表曲「DOWN TOWN」。その魅力と歴史を紐解いていきます。

1. 誕生秘話：山下達郎と伊藤銀次の出会い

「DOWN TOWN」は、山下達郎と伊藤銀次による共作です。二人の出会いは、山下達郎が初めて福生を訪れた時まで遡ります。当時、伊藤銀次は「ごまのはえ」で上京し福生に拠点を置いていました。知的な感性を持つ二人による雑談の中から、共作というアイデアが生まれたのです。職業作家のように分業するのではなく、常に顔を突き合わせて制作を進める、真のコラボレーションによって「DOWN TOWN」は誕生しました。当初はキングトーンズ15周年記念アルバムへの提供曲として構想され、10日間という短期間で3曲が書き上げられました。「DOWN TOWN」はそのうちの1曲でした。しかし、キングトーンズの企画が頓挫したため、シュガー・ベイブのアルバム『SONGS』に収録されることになりました。この時、他に制作された2曲は「遅すぎた別れ」（『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』収録）と「愛のセレナーデ」（フランク永井のシングルカップリング）として後に発表されています。

伊藤銀次は歌詞について、「曲らしい詞を初めて書いた曲」と振り返り、GSなどの既存のスタイルから脱却し、日本のポップスの新しい地平を切り開こうとした意欲が感じられます。「七色のたそがれ」や「シャボン玉」といったモチーフは、ロス・プリモスの「ラブユー東京」からの着想であることも明かされています。

2. 音楽性：洗練されたサウンドとリズム

「DOWN TOWN」は、アルバム『SONGS』バージョンとは異なるミックスが施され、シングル版ではモノラルに近い音質で、フェードアウトも短くなっています。楽曲のリズムパターンについては、アイズレー・ブラザーズの「If You Were There」からの影響が指摘されてきました。しかし、『SONGS -30th Anniversary Edition-』収録のオリジナルカラオケを聴いた村松邦男は、クラヴィネットとストラトキャスターの周波数特性の類似性に着目し、それらが互いにリズムをフォローし合うことで独特のグルーヴを生み出していると分析しています。山下達郎のリードボーカル、大貫妙子のエレクトリックピアノとコーラス、村松邦男のギター、そして他のメンバーの演奏が見事に融合し、洗練されたサウンドが完成しています。

3. レコーディングメンバー

山下達郎：リードボーカル、エレクトリックギター（右）、クラヴィネット、ハモンドB-3オルガン、ハイハット（左）＆コーラス
大貫妙子：エレクトリックピアノ＆コーラス
村松邦男：エレクトリックギター（左＆センター）＆コーラス
鰐川己久男：ベース
野口明彦：ドラムス
笛吹銅次：レコーディング＆ミキシングエンジニア

4. 複数のリリースとアートワーク

「DOWN TOWN」は、1975年のシングルリリース以降、1982年のナイアガラ・レーベルからの再リリース、プロモーションCDなど、様々な形態でリリースされています。それぞれのリリースにおけるアートワークにも注目です。1975年版はピンクと白を基調としたデザインで、「ELEC」のマークが特徴的です。ジャケット裏面には歌詞と楽譜が掲載されています。1982年版は池袋シアター・グリーンでのライブ写真を用いたデザインで、グリーンレーベル、そして後にイエローレーベルでのリリースもあります。

5. 評価とカバー

「DOWN TOWN」は、雑誌『レコード・コレクターズ』の特集「シティ・ポップの名曲ベスト100 1973-1979」で1位に選出されるなど、高い評価を得ています。北中正和氏は、その明るく晴れやかな歌詞と洗練されたサウンド、そして新しい音楽作りへの情熱が感じられる点を高く評価しています。

EPOによるカバーも有名で、フジテレビ系のバラエティ番組『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマとして使用されたほか、吉本興業の創業110周年特別公演でも使用されるなど、幅広い世代に親しまれています。

6. まとめ

「DOWN TOWN」は、山下達郎と伊藤銀次の才能、そしてシュガー・ベイブのメンバーの卓越した演奏力によって生み出された、時代を超えて愛される名曲です。その誕生から現在まで、様々なエピソードやリリース形態、そして高い評価など、多くの魅力が詰まった楽曲と言えるでしょう。

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