TBD (航空機)

TBD デヴァステイター：アメリカ海軍の雷撃機

TBD デヴァステイター（Douglas TBD Devastator）は、アメリカ海軍が太平洋戦争前期に運用した艦載の主力雷撃機です。この機体は、単葉金属製の艦載機として初めて導入されたもので、1930年代の航空機技術の頂点を象徴する存在でした。デヴァステイターは「荒廃させるもの、破壊者」を意味し、海軍の非常に重要な戦力としての役割を担ったことから、この名称が付けられました。

概要と開発経緯

デヴァステイターは1934年にダグラス社に開発が依頼され、新型空母に搭載される次期艦上雷撃機としての役割を期待されていました。1935年に初飛行を果たし、1937年には正式に就役が始まりました。登場した当初の性能は非常に高く、次世代の雷撃機として注目されました。

しかし、太平洋戦争が勃発した頃には、その性能が他国の航空機に対して劣ることが明らかになり、特に日本海軍の零式艦上戦闘機に対抗できるだけのスピードを持っていませんでした。最高速度が300km/h程度だったため、瞬く間に時代遅れとして扱われるようになってしまったのです。

戦闘環境と実績

特にミッドウェー海戦では、デヴァステイターが苦境に立たされました。日本海軍の零戦がこれを迎撃し、多くの機体が魚雷を投下する前に撃墜される惨状が報告されています。帰投しようとした機も追撃を受け、最終的には生還できたのはわずか4機のみでした。しかし、この大きな損害は、後続のSBD ドーントレス隊の成功を導く一因ともなり、結果的にアメリカ海軍航空戦力に貢献したと言えるでしょう。

また、この雷撃機は珊瑚海海戦においても活躍をした実績があり、艇艦攻撃によって彼の時期の海戦におけるアメリカ海軍の一翼を担う重要な役割を果たしました。

後の運用と退役

TBDデヴァステイターは、他の多くの機体と同様に戦局の変化に伴い、次世代のTBF アヴェンジャー雷撃機にその座を譲ることになりました。1942年頃から運用されることが少なくなり、1944年には運用を終了する運命を辿りました。これにより、アメリカ海軍の主力雷撃機の役割はTBF アヴェンジャーが担うことになり、デヴァステイターの歴史は幕を閉じます。

諸元

• - 乗員: 3名（パイロット、雷撃手/航海士、通信士/銃手）
• - 全長: 10.67 m
• - 全翼幅: 15.24 m
• - 全高: 4.60 m
• - 翼面積: 39.2 m²
• - 空虚重量: 2,540 kg
• - 満載重量: 4,213 kg
• - 動力: P&W R-1830-64 ツイン・ワスプ ×1（900 HP）
• - 巡航速度: 206 km/h
• - 最高速度: 331 km/h
• - 航続距離: 700 km（Mk.XIII魚雷搭載時）
• - 武装: ブローニング機関銃や魚雷、爆弾搭載可能

登場作品

デヴァステイターは、映画『ミッドウェイ』やゲーム『War Thunder』など、さまざまなメディアに登場し、その名を知られる存在となっています。特に『艦隊これくしょん -艦これ-』では艦載機として登場し、多くのファンに愛されています。これらの作品を通じて、当時の航空戦力を体感することができるでしょう。

デヴァステイターは、アメリカ海軍の歴史の中で重要な役割を果たし、その名は今でも記憶されています。

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