TBU (航空機)

TBUシーウルフ（TBU Seawolf）

TBUシーウルフは、米国のヴォート社が第二次世界大戦中に開発した艦上攻撃機です。この機体は、タイセイヨウオオカミという意味の名前を持ち、1940年代の艦上攻撃機として新たな技術を取り入れて存在感を示しました。しかし、最終的にはその生産が複雑な事情によって制約され、短命な運命を辿ることになりました。

開発の経緯

1939年3月、アメリカ海軍は従来の主力艦上攻撃機であるTBDデヴァステイターの後継機の開発を各航空メーカーに要請しました。この要請を受け、ヴォート社とグラマン社から提出された案の中から、ヴォート社のXTBU-1とグラマン社のXTBF-1がまず選ばれました。XTBU-1は1941年12月22日に初飛行を果たし、初期の試験ではXTBF-1に比べて優れた性能を示しました。このため、先に採用が決まったのです。

生産と運用

にもかかわらず、初飛行から本格的な量産に至るまでには時間がかかりました。1941年末に初飛行したXTBU-1でしたが、TBU-1としての発注は1943年9月と大幅に遅れました。その理由の一つには、ヴォート社がF4U戦闘機の生産で手一杯だったことがあり、TBUに回せる工場のラインに余裕がなかったからです。また、競合機であるTBFアヴェンジャーが実戦において好成績を収めていたこともあり、新たな機体の採用に対する海軍の姿勢にも影響を及ぼしました。

最終的に、TBY-2として1000機以上の量産が計画されましたが、コンソリデーテッド社がB-24爆撃機の生産に追われていたため、実際の生産が始まったのは1944年11月でした。生産自体は遅延が続き、1945年9月までに180機が完成したものの、太平洋戦争の終結に伴い、その後の生産はキャンセルされることとなりました。

部隊配備は1945年4月から実施されましたが、海軍第97雷撃航空隊に配備されたものの慣熟訓練中に戦争が終結したため、実戦に参加することはありませんでした。

特徴と構成

TBUシーウルフは、中翼・単葉の構造を持ち、爆弾倉を中心に備えるデザインです。ライバル機であるTBFアヴェンジャーとほぼ同様のサイズですが、エンジンのデザインが異なるため、細身の外見を持ち、パワフルなP&W R-2800（2000hp）エンジンを搭載していました。この結果、速度や上昇性能においてTBFアヴェンジャーを上回る能力を発揮しました。

一方で、主翼の折畳み方式や高い垂直尾翼などは小型空母での運用を難しくさせ、重さのために離着艦距離が長いことも課題となりました。主脚は後方引き込み式で、これもカタパルトによる発艦においては不利な点を生じていました。

結論

TBUシーウルフは多くの可能性を秘めた高性能機であったものの、運用状況やなぜか限られた生産能力の影響を受け、長期にわたる実用には至りませんでした。このような歴史を持つTBUは、艦上攻撃機の進化の一端を示しています。航空機の能力は必ずしも成功を保証するわけではないことを示す一例でもあり、期待される役割を果たすことができなかった機体の一つといえるでしょう。

もう一度検索