TFX (航空機)

TFX（KAAN）: トルコの第5世代戦闘機計画

TFXは、トルコ航空宇宙産業（TAI）が手掛ける第5世代ジェット戦闘機であり、正式名称はKAANです。この名称はトルコ語で「支配者」や「王の中の王」を意味し、2023年5月1日に発表されました。KAANは、トルコの次世代戦闘機計画の一環として位置付けられ、国内外の市場において高い性能と競争力を目指しています。

開発の経緯

TFXの開発には膨大な予算が割り当てられています。単価は約1億ドルを見込んでおり、技術開発と予備設計に約13億ドル、クリティカルデザインレビュー（CDR）と試作段階に73億ドルを要する計画です。最終的には、7機の飛行試験機の製造に約86億ドルが計上され、量産段階ではさらに140億ドルが見込まれ、全体の計画に必要な予算は200億ドルに達する見込みです。このプロジェクトにより、TAIは3200人の直接雇用と11200人の間接雇用を生むとされています。

トルコはかねてより、韓国のKFX計画に参加しようとしていましたが、対等な協力の必要性を訴え、最終的には撤回しました。また、ユーロファイター タイフーンの共同開発も拒否されています。2011年にトルコの防衛産業実行委員会は、自国で次世代戦闘機の設計・製造を行う決定を下し、TAIによる概念設計のために2000万ドルを投入。以降、様々な企業と調査・提案を行いながら開発が進められています。

技術パートナーシップ

2013年にはスウェーデンのSAABと技術的設計支援を行う協定を結び、地元のエンジニアリングスキルを活かした開発が進行中です。TAIは、複座型や無人機としての利用も検討しており、運用の柔軟性を高めています。

機体デザイン

TFXの設計は3つの案が考えられ、すべてが高い運動性やステルス機能を備えた第5世代戦闘機としての特性を持つとされています。選ばれたのは双発案で、最大離陸重量は60,000-70,000ポンドを想定しています。また、複合材料を使用し、軽量かつ強度を持つ機体が開発されます。エンジンは、最初はF-35のF135エンジンを検討しましたが、アメリカの輸出規制により他の選択肢を模索しています。

アビオニクスとエンジン

TFXにはアセルサンが開発した先進的なレーダーシステムや、無人機とのデータリンクが組み込まれる予定です。エンジンについては、ユーロジェットのEJ200エンジン供給を考慮する予定で、今後の開発に関わる各種契約が進行中です。

今後の展望

トルコ空軍はF-16の後継として、最大150機のTFX戦闘機を調達する意向を示しています。実用化は2023年を目指し、2030年代からの運用開始が到来予定です。また、インドネシアやパキスタン、アゼルバイジャンとの共同開発に向けた交渉も進んでおり、国際的な市場への進出が期待されています。

総括

KAANはトルコ国防産業の重要なプロジェクトとして注目されており、国内外の技術協力を通じて進化し続ける予定です。これにより、トルコの戦闘機開発の新しい章が開かれることが期待されています。

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