THE CROSS-BORDER RUGBY

THE CROSS-BORDER RUGBY 2024：国際交流と課題

2024年2月、ジャパンラグビーリーグワン上位チームとニュージーランドの強豪クラブチームによる国際ラグビー大会「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」が開催されました。本大会は、ジャパンラグビーリーグワンと日本ラグビーフットボール協会、そしてニュージーランドラグビー協会の協力の下、実現したものです。ニュージーランドからは、スーパーラグビー・パシフィックで活躍するギャラガー・チーフスとブルーズが参加し、リーグワンからはクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、埼玉パナソニックワイルドナイツ、横浜キヤノンイーグルス、東京サントリーサンゴリアスの4チームが対戦しました。

大会概要と背景

この大会の構想は以前からあり、世界のトップリーグ同士の対戦という構想が、2017年には既に存在していました。2021年にはリーグワンのリニューアルに伴い、クロスボーダーマッチの開催が計画されましたが、実現には至りませんでした。2023年になり、日本とニュージーランドのラグビー協会が定期的な試合開催の覚書を締結。その結果、2024年から2027年にかけて、スーパーラグビーのチームとリーグワン上位チームの対戦が実現することとなりました。

2024年大会は、リーグワンレギュラーシーズンの第6節と第7節の間に約3週間の空白期間を設けて開催されました。試合形式は40分ハーフで行われ、TMOやHIAなども採用されました。しかし、レッドカードによる出場停止処分は適用されませんでした。また、チーム表彰は行われず、各試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチが選出されました。

問題点：日程、選手起用、情報公開

大会開催日程は、リーグワンレギュラーシーズンに影響を与えるものとなりました。リーグワンチームは、クロスボーダーマッチとレギュラーシーズンマッチの間に約2週間の空きを設ける必要があり、選手の負担増加が懸念されました。ニュージーランド側も、スーパーラグビー開幕直前のタイミングでの開催となったため、ベストメンバーを揃えることが困難でした。

さらに、選手起用についても問題がありました。ニュージーランドラグビー協会の規定により、現役オールブラックスの選手は出場制限がありました。40分間の出場制限、またはゼロという制限もあり、多くのオールブラックス選手が出場しませんでした。このことは、大会前にファンに周知されておらず、批判を招きました。

リーグワンチームも、主力選手を温存する傾向が見られました。東京サントリーサンゴリアスやクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、代表選手や主力選手を温存し、ベストメンバーで臨むことはありませんでした。これに対して、埼玉パナソニックワイルドナイツはほぼベストメンバーで臨み、勝利を収めました。

これらの状況から、大会開催時期や選手起用の在り方、そして、情報公開の必要性などが議論の的となりました。特に、埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督は、大会開催時期や大会の意義、選手への負担などを強く批判しました。

肯定的な意見と今後の展望

一方で、大会開催を肯定的に評価する意見もありました。ラグビージャーナリストの村上晃一氏は、若い日本人選手にとってスーパーラグビーの強度を経験できる貴重な機会であったと評価しました。また、スポーツライターの大友信彦氏は、選手の成長や代表強化という観点から大会の意義を強調しました。

2025年以降の大会開催については、現時点では未定です。大会の継続開催のためには、ニュージーランド側へのメリットを示す必要性が指摘されています。理想的な開催時期はリーグワンとスーパーラグビー終了後の6月ですが、日本代表の活動時期と重なるため、実現は困難です。

まとめ

THE CROSS-BORDER RUGBY 2024は、国際交流という点では成功を収めた一方で、日程や選手起用、情報公開といった問題点を浮き彫りにしました。今後の大会開催に向けては、これらの問題点を解決し、リーグワンとスーパーラグビー、そして両国の選手にとってより良い形での開催が求められます。リーグワンチームの同意を得た上で、2024年と同様の時期に開催する、あるいは、リーグ終了後に開催するといった選択肢が現実的であると言えるでしょう。将来、この大会が、日本ラグビーの更なる発展に繋がることを期待したいところです。

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