THE ONE -crash to create-

LUNA SEAの15thシングル「THE ONE -crash to create-」：異例ずくめの23分超大作

2012年3月21日に発売されたLUNA SEAの15枚目のシングル「THE ONE -crash to create-」は、多くの点でバンドのこれまでのシングル作品とは一線を画す、異例の作品となりました。まず、その演奏時間はおよそ23分と、LUNA SEAの楽曲の中でも最長を誇ります。従来最長の楽曲であった「GENESIS OF MIND〜夢の彼方へ〜」のライブバージョンを大きく凌駕する長さです。

さらに、シングルとしては異例と言える要素がいくつかあります。まず、カップリング曲が一切収録されていません。また、プロモーションビデオも制作されていません。これらの点からも、このシングルが単なる商業的なシングルではなく、バンドにとって特別な位置づけの作品であったことが伺えます。

音質にもこだわりが見られます。LUNA SEAの楽曲として初めて、5.1chマスターが制作され、SACD、HQCD、通常のCDに加え、5.1ch音源を収録したDVD付きのプレミアムパッケージという、4種類の形態で発売されました。これにより、リスナーは様々な音質環境で楽曲を楽しむことができました。

楽曲制作にはLUNA SEAのメンバー5名に加え、マニピュレーターのd-kiku（菊池大輔）氏、ピアニストの葉山拓亮氏、ハープ奏者の朝川朋之氏、バックボーカルのYucca氏、そして藤原いくろう氏指揮による野口千代光ストリングスが参加しています。これだけの豪華な布陣が参加した点も、このシングルの特別な位置づけを象徴しています。楽曲は、J、SUGIZO、INORANによる原曲にRYUICHIによる作詞が加えられ、LUNA SEAが共同で作詞作曲編曲を手掛けています。

発表方法も独特でした。2012年1月18日にはLUNA SEA公式ホームページでカウントダウンが開始され、1月20日にはシングルの発売が発表されました。曲名は伏せられたまま、20分を超える楽曲であることと、様々な形態での発売が予告されました。その後もカウントダウンは続き、2月21日にようやく曲名とジャケットが公開。3月8日には東京豊洲で特別視聴会が開催され、ニコニコ動画とUSTREAMで生放送されました。3月14日には着うたとして先行配信され、3月21日にCDとデジタル配信が開始されました。

「THE ONE -crash to create-」は、単なるシングルという枠を超えた、LUNA SEAの意欲作と言えるでしょう。その圧倒的な長さ、豪華な演奏陣、多様なパッケージ形態、そして、その発表方法に至るまで、あらゆる面において、これまでのLUNA SEAにはない挑戦と実験精神が詰まった作品と言えるでしょう。この楽曲は、後に発売された『LUNA SEA 25th Anniversary Ultimate Best -THE ONE-』と『NEVER SOLD OUT 2』にも収録されています。 20分を超える大曲の持つスケール感、そして、それを支える豪華な演奏陣と、LUNA SEAの新しい試みが凝縮された「THE ONE -crash to create-」は、バンドの歴史の中でも重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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