TOPPERS/JSPカーネル

TOPPERS/JSPカーネル（TOPPERS/Just Standard Profile Kernel）は、組み込みシステム向けのリアルタイムオペレーティングシステム（RTOS）であり、TOPPERSプロジェクトによって開発・公開されています。このカーネルは、μITRON4.0仕様のスタンダードプロファイルに準拠しており、オープンソースソフトウェアとして提供されている点が大きな特徴です。

2000年11月に最初のバージョンが公開されて以降、継続的に改定が行われ、機能の拡充や安定性の向上が図られてきました。2014年6月時点での最新バージョンは1.4.4.1であり、多くの組み込みシステム開発者によって利用されています。

JSPカーネルは、TOPPERSプロジェクトが開発する他の同世代カーネル、例えばFI4などのベースとしても採用されており、その高い信頼性と移植性が評価されています。しかし、TOPPERSプロジェクトは2008年より新世代カーネルであるTOPPERS/ASPカーネル|TOPPERS_ASPカーネルの開発に軸足を移しており、JSPカーネルは現在、新規開発よりも既存システムのサポートや保守が中心となっています。

JSPカーネルの主な特徴

JSPカーネルは、μITRON4.0仕様に準拠した基本的な機能に加え、独自の拡張機能を備えています。これらの機能は、組み込みシステムにおける特定の要件に対応するために追加されたものであり、以下のようなものが挙げられます。

割り込み管理機能（ターゲット依存）
`dis_int`：割り込み禁止
`ena_int`：割り込み許可
`chg_ixx`：割り込み優先度変更
`get_ixx`：割り込み優先度取得
これらの機能により、割り込みの制御を柔軟に行うことができます。ただし、これらの機能はターゲットとなるCPUアーキテクチャに依存します。
CPU例外発生時のシステム状態参照機能
`vxsns_ctx`：コンテキスト情報参照
`vxsns_loc`：ローカル情報参照
`vxsns_dsp`：ディスパッチャ情報参照
`vxsns_dpn`：ディスパッチペンディング情報参照
`vxsns_tex`：例外ハンドラ情報参照
これらの機能は、CPU例外発生時のデバッグやシステム解析に役立ちます。
性能評価用システム時刻参照機能
`vxget_tim`：システム時刻取得
この機能は、システムのパフォーマンスを評価する際に使用されます。
終了処理ルーチン機能
`VATT_TER`：終了処理ルーチン登録
この機能は、システム終了時に特定の処理を実行したい場合に利用します。
カーネル動作状態参照機能
`vsns_ini`：カーネル初期化状態参照
この機能は、カーネルの初期化状態を確認する際に使用されます。

主なターゲットアーキテクチャ

JSPカーネルは、様々なCPUアーキテクチャに対応しており、その移植性の高さも特徴の一つです。主なターゲットアーキテクチャは以下の通りです。

M68040
SuperH
H8
ARM
M32R
MicroBlaze
M16C
PowerPC
Windows（シミュレーション環境）
* Linux（シミュレーション環境）

これらの幅広いターゲットに対応することで、様々な組み込みシステム開発においてJSPカーネルを利用することができます。

まとめ

TOPPERS/JSPカーネルは、μITRON4.0仕様に準拠したオープンソースのリアルタイムOSであり、その高い信頼性と移植性から、多くの組み込みシステム開発に利用されてきました。独自の拡張機能や幅広いターゲットアーキテクチャのサポートにより、柔軟なシステム構築が可能です。現在は新世代カーネルの開発に注力されているものの、JSPカーネルは組み込みシステム開発において重要な役割を果たし続けています。

外部リンク

TOPPERSプロジェクト/JSPカーネル

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